首都圏1都3県の緊急事態宣言延長で、長引く飲食店への時短営業要請。1日6万円の協力金が支給されるため大多数の店が応じているが、「隠れて営業しているのでは」という近隣住民の「通報」も多い。自治体の担当者は不正受給防止に知恵を絞るが、限界や温度差もうかがえる。
 「原資は税金。不正な支出はできない」と神奈川県の担当者は話す。同県では原則、職員と警察官の4人1組で、主要駅周辺をパトロール。雑居ビルも各階を回り、午後8時以降も営業する店を見つけると、チラシなどを渡し協力を呼び掛ける。これまで職員延べ1400人が約100駅を巡回。県内の約5万3000店中、延べ2万8000店余をチェックし、協力率は97%超という。
 回り切れないエリアは、近所の職員に確認を頼んだり、市町村に情報提供を求めたりしてカバー。情報を得た店や応じない店には「特命チーム」の職員が別途訪問する。担当者は「宣言延長のたびに再巡回するので、開けている店はほぼ把握できているのでは」と話す。
 千葉県や埼玉県は、情報収集を民間調査会社などに委託。データに基づき、職員が疑わしい店舗や周辺を回る。「友人を招いただけで営業ではない」「まかないの提供だ」などと言い張る業者もいるが、リストアップし、繰り返し実態を確かめている。
 一方、8万店以上を擁する東京都は、確認作業が難航している。体制は1日10組20人の職員と一部の民間委託のみ。回れるのは1日2000店程度という。これまで約4万5千店を調べ、約97%が協力しているとするが、外からの目視だけで、立ち入り点検はしていない。見つけた店には、文書や電話で協力を要請するが、一度回ったきりで追い切れていない地域も多いという。担当職員は「不公平にならないようにしたいが、どうしても漏れは出る」と歯切れが悪い。
 各都県とも、不正発覚時は協力金の全額返金や違約金を求めると定めるが、周知には温度差が。ホームページに警察と連名で「不正受給は犯罪」と大きく記す県もあれば、注意書きだけの場合もある。
 一方、全国の警察では持続化給付金の不正受給を詐欺などの疑いで検挙する例が相次いでおり、協力金の不正も取り締まる見込み。国税庁も、協力金で利益が出た場合は課税する方針だ。同庁の担当者は「多数の事業者が受給しており、経費などをしっかり調査したい」と話している。 (C)時事通信社