【ベルリン、ニューヨーク時事】ドイツ、フランス、イタリアなどは15日、英製薬大手アストラゼネカが開発した新型コロナウイルスワクチンの接種を停止すると発表した。接種後に血栓ができる事例が複数確認されたため。欧州連合(EU)加盟国の医薬品の許認可権限を持つ欧州医薬品庁(EMA)は18日に会合を開き、対応を協議する方針を決めた。
 アストラゼネカのワクチンをめぐっては、既にデンマークやノルウェーなど欧州を中心に複数の国が接種を停止。この日、独仏伊のほかスペインやスロベニアなども接種を取りやめると発表した。日本でも使用が申請されているが、まだ承認されていない。
 ドイツではこれまで約160万回分の接種が行われ、7人に脳静脈血栓症が確認されたという。シュパーン保健相は、停止が「あくまでも予防的措置」と強調した。ドイツを含むEU各国はEMAの見解を待ち、接種継続の是非を判断する。
 EMAは15日の声明で、現時点ではワクチン接種者の血栓症の事例は、比率としては多くないと指摘。アストラゼネカも14日、EUと英国で接種を受けた1700万人以上のデータを精査した結果、血栓症のリスクが増大するとの証拠は見つからなかったと強調した。
 世界保健機関(WHO)は15日、「当面は接種継続を推奨する」(スワミナサン主任科学者)と述べた。ただ、専門家の会合を16日に開き、改めてデータを精査することも明らかにした。
 カナダのトルドー首相は、2月に同国で承認されたアストラゼネカ開発のワクチンの安全性を強調。米国立衛生研究所(NIH)のコリンズ所長もロイター通信に対し、同ワクチンの緊急使用が米国で約1カ月後に認められる可能性があると述べるなど、主要国間で対応が分かれている。 (C)時事通信社