4都県で2カ月半に及んだ緊急事態宣言の解除が決まった。2度にわたって延長したものの、足元では新型コロナウイルス感染が再び拡大傾向にある。行楽シーズンの到来や変異ウイルス感染増で、「第4波」への懸念は拭えない。政府は宣言に準じた強制力を伴う対策が可能な「まん延防止等重点措置」の適用も視野に、検査体制強化を柱とする備えを急ぐ。
 政府内で宣言解除の手続きが進んでいた17日夕。「今まさに感染増加の局面だ。東京都などでまん延防止等重点措置を取るべきだ」。首相官邸の幹部が発した一言に、関係省庁は騒然となった。
 この日の東京都の新規感染者数は約1カ月ぶりの400人超に。宮城県でも過去最多の107人の感染が判明した。18日の基本的対処方針等諮問委員会の資料では、近畿圏を含め「リバウンド(感染再拡大)が生じ始めているのではないか」との指摘が盛り込まれた。
 「重点措置」の適用案は、関係閣僚から「宣言解除が妥当かどうか問われかねない」と待ったがかかり、ひとまず立ち消えになった。ただ、基本的対処方針は、重点措置を「機動的に活用する」と明記。別の官邸幹部は、感染者の推移を特に注視し、「感染拡大が明らかであれば直ちに重点措置に移る。罰則もためらわない」と言い切る。
 「第4波」の回避には、高い感染力を持つと言われる変異ウイルス対策も重要な課題となる。既存型との置き換わりが指摘され、空港検疫を含めた感染者はこれまで約400人。政府は宣言解除後の感染対策の柱として、変異ウイルスのスクリーニング検査を強化。民間検査機関の協力も得て、全陽性者の40%程度に引き上げる。
 さらに、変異ウイルスを含むクラスター(感染者集団)の早期検知を目指し、先に宣言を解除した関西など7府県で実施中の無症状者のモニタリング検査を、4都県でも始める。感染ルートを明らかにする保健所の疫学調査も、感染者の急増で手が回らなかったため態勢の立て直しを急ぐ。
 ただ、諮問委メンバーは現在の感染状況について、これらの対策を講じても「既に新しい事態に入っており、次の再拡大まで時間的猶予はない」と警鐘を鳴らす。厚生労働省は欧州並みの感染爆発も想定し、新規感染者数が今回の感染拡大ピーク時の2倍程度でも対応できるよう、自治体に病床確保計画の見直しを求める考えだ。
 重症化しやすい高齢者向けワクチン供給は6月末に完了する見込み。これを受け、高齢者への接種が一巡するまでが「一つのヤマ場」と政府はみる。尾身茂・新型コロナ対策分科会長は18日、「国、自治体が汗をかき、確実に結果を出すことで、初めて一般市民が協力してくれる」と、政府と自治体が連携する重要性を改めて訴えた。 (C)時事通信社