新型コロナウイルスの感染急拡大を受けて年初に出された緊急事態宣言は、2カ月半ぶりに全面解除される。リバウンド(感染再拡大)の芽が摘みきれない中での政府判断には、収束への確信はうかがえない。社会の動きが活発化する年度替わりを前に、人々の警戒心の「緩み」をどう防ぐか。政治の役割が一段と重要な局面となる。
 年初にかけて急速に悪化した感染状況は、最大11都府県に及んだ緊急事態宣言で目に見えて好転した。解除のネックとされた医療提供体制の逼迫(ひっぱく)も和らいだ。だが、ここへきて新規感染者数の増加傾向や、感染力が強いとされる変異ウイルスの広がりなど懸念材料が目立つ。
 宣言解除に当たり、政府関係者は「このまま続けてもこれ以上改善しない」と対策の限界を認める。宣言の効果が薄れた以上、さらに延長しても意味がないという無力感が政府判断の根底ににじむ。今回の解除は「危険は去った」ということでは無論ない。感染を一定のレベルに抑えつつ、社会経済活動の再開を認めざるを得ないという消極的判断と言える。
 現実は既に先を行っている。都心部を中心に人出は平時と見まがうほどで、行楽地のにぎわいも目に付く。宣言が効力を失う中、「決め手」と期待されるワクチン接種も劇的な効果は見込めそうにない。リバウンドを防ぐには、手洗いや「3密」の回避など、地道な感染対策を個々人に徹底してもらうしかない。
 そのポイントについて、専門家は「国と自治体が効果的なメッセージをどう出すかだ」と指摘する。言い換えれば、大事なのは政治家の言葉の説得力だ。政治家が自ら禁を破るなどもってのほか。コロナ対応を駆け引きの材料にするのも厳に慎むべきだ。政治に緩みは許されない。 (C)時事通信社