甲子園球場には応援歌が響き、リズミカルな手拍子やメガホン、太鼓の音が躍動する球児の一挙手一投足を後押しをする。20日の三島南(静岡)戦で完投勝利した鳥取城北(鳥取)の広田周佑投手は「すごく応援してくれると思いながらプレーした」と感謝した。2年ぶりの選抜大会は、いつもの春と変わらない光景のようにも見えるが、多くの部分で見慣れた過去のセンバツとは違う。
 新型コロナウイルス感染予防のため、上限1万人に定めたスタンドの観客はまばら。ブラスバンドがなく、音楽は録音と分かる。好プレーにもベンチは素手でのハイタッチを封印。監督はマスク姿で指示し、試合後にお互いをたたえる握手もない。敗者はグラウンドの土を拾わず、早々に退散。日本高校野球連盟の八田英二会長が「安心」「安全」と繰り返すコロナ下の甲子園は、感染予防対策が最優先の新たなスタイルの下で進行中だ。
 開幕前には関係者約1000人にPCR検査を行い、全員の陰性が確認された。大会中も1回戦勝利校を対象に再検査を実施。万が一、感染者が判明して大会参加が不可能となった場合は、相手チームの不戦勝となる。
 異例づくしの夢舞台に各チームも対応しようと懸命だ。優勝候補の一つで、23日に智弁学園(奈良)とぶつかる大阪桐蔭(大阪)の西谷浩一監督は大会前、「体調管理に非常に気を使う」としながらも、「選手は寮生活で一丸さを学び、周囲に動じない気持ちの強さを培っている」と語り、普段通りの野球が異常事態での利点になると強調した。 (C)時事通信社