【ベルリン時事】ドイツのメルケル首相は、9月の連邦議会(下院)選挙に出馬せず引退する。しかし、新型コロナウイルス対応への国民の不満で、メルケル氏が所属する中道右派与党キリスト教民主同盟(CDU)の支持率は急落。一方、野党・緑の党が勢いづいており、「メルケル後」の独政界を誰がリードするのか、情勢は混沌(こんとん)としている。
 14日実施の南西部2州の州議選で、CDUは過去最低の得票率に沈んだ。対照的に、両州の連立与党の一角である緑の党はCDUへの批判票を取り込み、得票を伸ばした。州議選後に全国で行われた公共放送ARDの世論調査では、CDU中心の会派の支持率は3割を切った一方、緑の党は20%で、同会派に次ぐ2位。総選挙後、緑の党が国政でCDU抜きで連立政権を組み、初の首相を出す可能性も議論され始めた。
 CDUへの逆風の最大の要因はコロナ禍だ。昨春の第1波時は死者を少なく抑えたが、昨秋からの第2波は封じ込めに苦慮。ロックダウン(都市封鎖)は今月末で5カ月に及ぶ上、マスク調達契約をめぐり、会派所属議員が不当に利益を得ていた疑惑が発覚し、国民の不満が噴出している。
 ドイツではCDUと社民党の二大政党が首相候補を立てて総選挙を戦うのが慣例だ。しかしCDUは、1月に選んだラシェット新党首の人気がいまひとつで、ラシェット氏を首相候補に決めあぐねている。CDUと統一会派を組むキリスト教社会同盟(CSU)のゼーダー党首を推す声も強い。
 ベルリン自由大のファース教授(政治学)は「CDUの安定感は消えた。9月に何が起きてもおかしくない」と、波乱の展開を予想している。 (C)時事通信社