新型コロナウイルスの流行による不動産への影響が顕在化してきた。テレワークの普及に伴い、東京都心ではオフィスの空室が増えた。在宅時間が長くなったことで、広い面積を確保しやすい郊外住宅への注目も高まっている。働き方や生活の変化が不動産のニーズも変えようとしている。
 オフィス仲介の三鬼商事によると、都心オフィスの空室率はこの1年で急上昇し、今年2月には適正水準とされる5%を上回った。不動産業界では「これまでが低過ぎた」との見方が大勢だが、先行きは楽観できない。
 テレワークなど新たな働き方を踏まえ、富士通は2022年度末までにオフィス面積を半減させる。まだ様子見の企業も多く、縮小・移転が本格化するのはこれから。オフィスの供給増もあって、三井住友トラスト基礎研究所は25年に空室率は8%まで上昇すると予想する。
 住宅ニーズにも変化が生じている。三井不動産レジデンシャルによると、新規契約者の約2割がコロナをきっかけに購入を検討したと回答、広さや部屋数の多さを重視する傾向も見られた。通勤頻度が減ったことも影響し「郊外を選択肢に入れる人が増えている」(同社)という。
 一方、通勤での感染リスクを減らすため、職場に近い都心への転居や、自転車通勤を前提に家探しをする人もいる。不動産市場の分析を手掛けるアットホームラボの磐前淳子氏は「コロナを機にニーズが多様化している。郊外はそのひとつにすぎない」と指摘した。 (C)時事通信社