2021年の公示地価では、訪日外国人旅行者(インバウンド)効果で上昇傾向にあった観光地や繁華街で、一転落ち込みが目立った。商業地の下落率上位10地点には、大阪市ミナミの道頓堀や難波、心斎橋といった地点が並ぶ。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、客足が戻るか見通せず、今後の地価動向には不透明感が漂う。
 下落率が全国1位(28.0%)だった道頓堀の地点は、老舗ふぐ料理店「づぼらや」が営業していたが、コロナ禍で閉店。道頓堀川に面した同2位(26.5%)の宗右衛門町の地点も、前年は全国3位の44.9%の上昇率だったが、ホテルやドラッグストアなどでのインバウンドによる消費がほぼ消失。国土交通省担当者は「特に収益性が大きく落ちている」と説明する。
 札幌市のススキノや金沢市の片町、伝統的な街並みが残る岐阜県高山市などインバウンドに人気の地方の観光地も軒並みマイナスに転じた。
 一方、上昇率が高かった地点を見ると、商業地上位10地点のうち8地点が福岡市内。中心部の天神や博多駅周辺からやや離れた割安な地域で、賃貸マンションの需要が伸びた。
 北海道北広島市では住宅地、商業地ともに顕著に上昇。プロ野球日本ハムの新球場が23年に開業するのを見据えた周辺の再開発計画や住宅需要の増加が影響した。
 コロナ禍では、東京都からの転出者が7カ月連続で転入者を上回っているほか、テレワークの普及で働き方が変化。地方移住に関心を持つ人が増えているとされるが、同省によると特に地価への反映はみられないという。静岡県熱海市や長野県軽井沢町の住宅地では、首都圏の高所得者向けの別荘地需要が高まり地価が上昇したが、こうした動きは限定的だった。 (C)時事通信社