政府は23日、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けている飲食業や宿泊業を主な対象とする金融支援策をまとめた。コロナ禍の長期化につれ、民間金融機関が融資先の選別を強めつつある状況を踏まえ、政府系金融機関が単独で資金供給しやすくすることが柱。昨年春の感染第1波で借り入れた資金の返済を迫られる事業者も多く、支援の手が届くかは時間との勝負になってきた。
 首都圏4都県で続いていた緊急事態宣言は21日に解除されたが、当面は午後9時までの営業時間短縮要請が続く。東京五輪・パラリンピックも海外からの一般客の受け入れ見送りが決定。飲食業や宿泊業は当面厳しい経営環境が続くとみられ、政府は支援拡充が必要と判断した。
 支援策の柱の一つが、民業圧迫を避けるため日本政策投資銀行や商工中金に民間金融機関との協調融資などを求める「原則」の一時停止だ。コロナ禍が長期化する中、「大手銀行などは返済繰り延べに応じても、新規融資には及び腰」(飲食業界関係者)とされ、協調原則が足かせとなって政府系金融の支援が滞る事態を防ぐ。
 想定するのは資本に近い性質の劣後ローンや優先株による資金供与。金利や配当負担を引き下げ、財務の改善を通じて民間金融機関による追加融資の呼び水としたい考えだ。中小企業に比べ手薄とされてきた大手・中堅に支援の手を広げることで、非正規雇用の受け皿確保も狙う。
 飲食業界は「相当苦しい企業もあり、支援の幅が広がるという意味で期待できる」(外食大手)と評価する一方で、「実際の使い勝手は分からない」(同)と慎重な見方も示す。
 政投銀は製造業や航空産業への金融支援で実績を残してきたが、「外食の取引企業はあまりない」(業界関係者)のが実情。飲食・宿泊の特別チームを設け、原則1カ月程度でのスピード審査を目指すが、「一度に数十社から支援を求められた場合に短期間に対応できるのか」(同)との声もある。 (C)時事通信社