【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)欧州委員会は24日、1月末に導入した新型コロナウイルスワクチンの輸出規制の強化を発表した。EUへの輸出を制限しているワクチン生産国や、ワクチン接種率でEUに先行する国への出荷を停止できるようにする。製薬会社からワクチンが契約通りEUに供給されるよう、域外輸出を認める基準を厳しくする。
 英製薬大手アストラゼネカからの大幅供給減でEUの接種計画に遅れが生じる中、同社の製造拠点が国内にありながらEUに輸出していない英国を特に念頭に置いた対応。英側の反発は必至だ。EUからワクチンを輸入する日本を含め、安定供給への懸念が世界的に広がりそうだ。
 フォンデアライエン欧州委員長は声明で、EUは先進国唯一の大規模な輸出元であると強調。「(輸出は)双方向であるべきだ。EU市民への適時で十分なワクチン供給を確保しなければならない」と訴えた。
 EUは1月末、アストラ社の供給遅延を受け、域内で製造された製薬各社のワクチンの域外輸出を事前承認制とした。今回は「相互関係」と「釣り合い」を重視し規制を厳格化。相手国のワクチンや原料のEU向け輸出制限の有無に加え、接種率や感染状況の比較を承認可否の判断基準に加える。
 英国は輸出制限は導入していないが、EUはアストラ製ワクチンが英側に優先供給されているとみており、英による「事実上の輸出禁止」だと不満を強めている。自国優先を明確にする米国とも今後あつれきが生じる可能性がある。
 EUでは現在の規制導入以降、日本など33カ国向けの380件の輸出を承認。一方、イタリアがアストラ製ワクチンのオーストラリア向け輸出を1件差し止めた。 (C)時事通信社