新型コロナウイルス感染再拡大の兆候がある中で始まった東京五輪の聖火リレーについて、与野党はその成り行きを注視している。政府・与党は聖火が全国各地を巡ることで五輪開幕に向けた国民の盛り上がりにつながると期待。野党は感染再拡大を懸念する。菅義偉首相は国会日程を優先し、リレー出発式を欠席した。
 首相は25日、福島県で聖火リレー出発式が始まったころ、2021年度予算案を審議する参院予算委員会に出席していた。五輪に向け「感染の再拡大を防ぎ、安全・安心な大会を実現することができるように準備をしっかり進めていきたい」と強調した。
 これに先立ち、首相は首相官邸で記者団に対し、聖火リレーについて「オリンピック・パラリンピック大会が近づいてきていることを国民の皆さんに実感してもらえる貴重な機会だ。それぞれの地域で機運を高めていただきたい」と述べた。
 感染収束が見通せないことから、世論には五輪中止・再延期を求める声がなお根強い。政府・与党は聖火リレーで五輪ムードが高まることを当て込む。超党派の東京五輪・パラリンピック大会推進議員連盟の麻生太郎会長(副総理兼財務相)は25日の会合で「重たいコロナの気分を一掃する意味においても、大きな祭りは人間の気持ちを明るく前向きなものにしてくれる」と訴えた。
 公明党の山口那津男代表は党中央幹事会で、リレー開始を受け「これから長丁場になるが、聖火をつないで大会に結び付けていきたい」と語った。
 一方、共産党の志位和夫委員長は記者会見で「安全・安心な大会ができない可能性がある。絶対できると誰が断言できるか」と強調。「一種のギャンブルをやることになる。それに国民の命や健康を懸けるのは政治のやることではない」と五輪中止を重ねて求めた。
 国民民主党の玉木雄一郎代表は会見で「聖火リレーのスタートとほぼ同じ時期にリバウンドも始まっているのかなと認識している。非常に危機感を抱いている」と指摘した。 (C)時事通信社