【ワシントン時事】新型コロナウイルスが昨年春以降猛威を振るった米国で、殺人事件や銃犯罪が急増したことが種々の統計から明らかになってきた。民間団体によると、銃犯罪の犠牲者は昨年1年間で1万9000人を超え、統計を取り始めた2014年以降で過去最悪を記録。コロナ下の生活様式の変化が影響したという見方が強い。
 連邦捜査局(FBI)が今月中旬に発表した20年の犯罪統計の推計値によると、殺人事件は19年と比べ約25%増えた。
 中でも顕著なのが、殺人事件の過半を占める銃犯罪だ。新聞記事や警察発表を基に銃犯罪の数を集計する団体「銃暴力アーカイブ(GVA)」は、事故を含めた銃の犠牲者が昨年1万9378人に上ったと発表。19年から4000人近く増えた。
 米メディアは、コロナによる失業や学校のオンライン化など「人々の生活の変化が凶悪犯罪を誘発した」可能性を指摘する。孤独や無為な生活、ストレスが背景にあるとの見方だ。
 別の要因として考えられるのが銃の流通の増加だ。ABCニュースによると、FBIの審査を経た銃の販売は昨年約4000万丁に上り、19年から4割増えた。反人種差別暴動などで「国民の自衛意識が高まった」背景が指摘される。
 銃犯罪は家庭内で多く、GVAによれば11歳以下の子供の犠牲も昨年は299人に上った。反銃暴力団体「サンディフック・プロミス」はワシントン・ポスト紙に「多くの子供にとって家は最も安全な場所ではなくなっている」と警告している。 (C)時事通信社