新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言の全面解除から初の週末となった27日、東京都内の桜の名所は多くの花見客でにぎわった。宴会を伴う花見自粛が求められ、歩きながら桜を楽しむ人の姿が目立つ中、「感染者が増えつつあるのに」と混雑を不安視する住民の声もあった。
 台東区の上野公園では、片側通行や「宴席禁止」の張り紙など「密」を避ける対策が取られ、多くの人が歩きながら桜をめでていた。今年初めての花見という都内の30代カップルは「コロナで大変な中、感慨深い。来年は元の花見に戻ってほしい」と声をそろえた。
 入り口近くでは缶ビールを手に座って話し込む姿もあったが、ほとんどの人はルールを守って花見を楽しんでいた。足立区から訪れた女性(81)は「自粛、自粛で鬱屈(うっくつ)していたので気分転換に来た。騒いでいる人もおらず、安心して楽しめた」と笑顔を見せた。
 近くのアメ横商店街周辺も人出が多く、居酒屋はジョッキを傾ける人らでにぎわっていた。
 両岸に続く桜並木が「写真映え」すると人気の目黒川。警備員が「お花見は自粛を」と呼び掛ける中、桜の写真を収める若者らが押し寄せた。
 「天気も良いし、ここ数日で一番人が多い」と話すのは、出店でサワーなどを売っていた男性(42)。男性によると、人出は「コロナ前の10分の1程度」というが、通りや川に架かる橋では、スマホで撮影する人やカクテルを飲みながら語らう人らが列をなしていた。
 こうした光景に眉をひそめる住民もいる。川沿いのスーパーに来た会社員女性(61)=目黒区=は「宣言が解除されたらこんなに人が来てしまうんだ」と困惑。「都内の感染者が増えつつある中でこの混雑は正直言って怖い。早く帰らなくちゃ」。川沿いを避け、自転車を走らせた。 (C)時事通信社