内閣府は31日、最近の経済動向を分析した「日本経済2020―21」(ミニ経済白書)を公表した。新型コロナウイルス感染拡大による需要の落ち込みで、2020年10~12月期に企業部門は238万人に上る余剰人員を抱えたと推計。企業は政府の支援策を活用しながら雇用維持を図っているが、中長期的な生産性向上へ「成長分野に失業なき労働移動を促進していくことも必要」と指摘した。
 白書によると、企業の雇用者数が実際の生産活動に最適なレベルを上回る余剰人員は、4~6月期に646万人、7~9月期に379万人。経済活動の回復とともに徐々に縮小しているが、10~12月期の水準でも完全失業者数(昨年12月は194万人)を上回る。特に感染拡大の打撃が大きい宿泊・飲食サービス業など非製造業は158万人に上るとしている。
 政府は雇用維持を支援するため、企業が労働者に支払う休業手当を助成する雇用調整助成金(雇調金)について、助成率を最大全額(日額上限1万5000円)とする特例措置を実施。白書は、雇調金の支給が進んだ結果、完全失業率の上昇を2~3%程度抑えたと分析している。
 雇調金など政策支援でコロナ禍による大量の失業は回避した格好だが、今後はニーズの高い分野への人材移動を促すため、労働者のスキルアップ支援が課題になる。
 ただ、アジア太平洋地域の14カ国・地域を対象とした19年の調査(パーソル総合研究所)では、勤務外で学習や自己啓発を行っていない就業者の割合を見ると、日本は46.3%と14カ国・地域の平均(13.3%)に比べて著しく高い。白書は「個人も企業も人的投資には消極的」と問題視している。 (C)時事通信社