日銀が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、大企業製造業の業況判断指数(DI)が昨年12月の前回調査から15ポイント上昇し、プラス5となった。新型コロナウイルス感染拡大前の水準を回復したものの、けん引役の自動車は世界的な半導体不足で調達に不安を抱える。製造業の3カ月後の先行きDIは1ポイント悪化のプラス4で、景気動向にはなお慎重な見方が根強い。
 中国市場の持ち直しなどで自動車の業況判断は23ポイント上昇のプラス10と大幅に改善した。自動車産業は裾野が広く、鉄鋼は前回から20ポイント、非鉄金属は24ポイント、化学も10ポイント上昇した。
 全規模全産業の2021年度の想定為替レートは1ドル=106円07銭。足元は1ドル=110円台と円安が進んでおり、このままの水準で推移すれば、自動車を含む輸出関連業種には追い風となる可能性がある。
 ただ、世界的に車載用半導体が不足。追い打ちを掛けるように今年3月、半導体大手ルネサスエレクトロニクスの工場火災が発生。全面復旧には3~4カ月かかる見通しだ。ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは「自動車メーカーの減産拡大は避けられず、余波は他の業種にも及ぶ」と懸念を示す。
 大企業非製造業の業況判断は4ポイント上昇のマイナス1。業種ごとのばらつきが大きく、テレワーク拡大の恩恵を受けた情報サービスが改善したのに対し、緊急事態宣言の再発令で時短営業を迫られた宿泊・飲食サービスは15ポイント悪化のマイナス81。宿泊・飲食は先行きの改善を見込むが、大阪、兵庫、宮城3府県を対象とする「まん延防止等重点措置」が影を落とす恐れがある。 (C)時事通信社