千葉大学病院は昨日(3月29日)、サリドマイド(商品名サレドカプセル)がPOEMS症候群(クロウ・深瀬症候群)の治療薬として世界で初めて承認を取得したと発表した。同院脳神経内科教授の桑原聡氏らの研究グループが臨床試験を実施し、製造販売元の藤本製薬が申請していた。(関連記事:「POEMS症候群にサリドマイド療法が有効」

超希少疾患に世界初のRCTを実施

 POEMS症候群は、形質細胞の異常増殖および血管内皮増殖因子(VEGF)の異常高値を基盤とする難治の全身性疾患。末梢神経障害、臓器腫大、内分泌異常、M蛋白血症、皮膚症状など多様な症状を呈する。日本の患者数は約400例で、有病率は人口10万人当たり0.3人と推定される超希少疾患だ。

 急速に進行し、適切な治療を施行しなかった場合の平均生存期間は33カ月と予後不良だが、患者数の少なさから治療薬の開発は進まず、標準療法は確立されていない。そこで、桑原氏らはPOEMS症候群患者を対象にサリドマイドの有効性と安全性を検証する世界初のランダム化比較試験(RCT)を実施した。なお、サリドマイドは1950年代に薬害が相次ぎ販売が禁止されていたが、2008年に多発性骨髄腫治療薬としてあらためて承認されている。

24週で血清VEGFが改善

 千葉大学を含む全国12施設が行なった国内第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験では、自己末梢血管細胞移植の適応とならないPOEMS症候群患者24例を、デキサメタゾン併用下でサリドマイド群13例、プラセボ群11例に割り付け、ベースラインからの血清VEGF減少率を検証した。その結果、24週の二重盲検RCT期において、サリドマイド群の血清VEGF減少率はプラセボ群を有意に上回っていた(P=0.04、)。また、24週以降にサリドマイドを48週間投与した長期試験期においても、継続的な血清VEGF値の減少が認められた(Lancet Neurol 2016; 15: 1129-1137)。

表. 投与24週後における血清VEGFの減少率

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(千葉大学病院プレスリリースより)

 これらの結果に基づき、藤本製薬がPOEMS症候群に対する適応拡大申請を行なった。なお、同社は血清VEGF値の測定試薬も合わせて開発、承認を取得した(商品名VEGF ELISAキット「フジモト」)。ELISA(酵素免疫測定法)による血清VEGF値の測定が可能で、臨床試験に参加したPOEMS症候群患者の検体において有効性が確認されたという。

 桑原氏は「今後、POEMS症候群の治療選択肢が大きく広がることを期待している」とコメント。難治性の超希少疾患に対する世界初の治療薬として、予後改善が期待される。

(平山茂樹)