マンモグラフィによる乳がんスクリーニングの有効性は、実施後早期に現れないものの、長期的にはベネフィットが得られると考えられている。英・Queen Mary University of LondonのStephen W. Duffy氏らは、スウェーデンにおけるマンモグラフィ受診率と乳がんによる死亡率の関係を前向き研究で検証。乳がん診断前直近2回のマンモグラフィ検査を受診しなかった集団では、マンモグラフィ検査を受診した集団と比べて、その後の乳がんによる死亡リスクが大幅に上昇し、直近1回の受診スキップでも乳がん死亡リスクが上昇したとRadiology(2021年3月2日オンライン版)に発表した。

乳がん診断直近2回のマンモ受診の有無で4群に分類

 Duffy氏らは、ストックホルムを含むスウェーデンの9県に在住し、1992~2016年にマンモグラフィ検査によるスクリーニングの対象となり、その後に乳がんと診断された女性4万9,091例(平均年齢58.9±6.7歳)を抽出。乳がん診断前直近2回のマンモグラフィ検査の受診状況に基づき、2回とも受診した群(39万2,135例)、最直近のみ受診した群(4万1,746例)、最直近は受診しなかった群(3万945例)、2回とも受診しなかった群(8万4,265例)-の4群に分類した。

 主要評価項目は、マンモグラフィの受診パターンが、乳がんによる死亡率および診断後10年以内の乳がん死亡率に及ぼす影響とした。

2回受診群は、非受診群に比べて乳がん死リスクが半減

 平均22年の追跡期間中に、3,995例が乳がんにより死亡した。乳がん診断直前の2回のマンモグラフィ検査を2回とも受診しなかった群に対する2回とも受診した群の乳がん死の相対リスク(RR)は、0.51(95%CI 0.48~0.55)と49%有意に低かった(P<0.001)。最直近のみ受診した群(RR 0.67、95%CI 0.59~0.76)、最直近は受診しなかった群(同0.72、0.63~0.83)のいずれも、有意にリスクが低下していた(ともにP<0.001)が、2回とも受診した群よりも低下幅は小さかった。最直近のみ受診した群、最直近は受診しなかった群に対する2回とも受診した群のRRは有意に低かった(順に0.77、95%CI 0.69~0.86、0.70、同0.61~0.80、ともにP<0.001)。一方、最直近のみ受診した群と最直近は受診しなかった群に有意差はなかった。

 また、診断後10年以内に2,589例が乳がんにより死亡した。マンモグラフィを2回とも受診しなかった群に対する2回とも受診した群における乳がん死のRRは0.50(95%CI 0.46~0.55)と有意に低かった()。

表. マンモグラフィ受診率ごとに見た診断後10年以内の乳がん死亡リスク 

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Radiology 2021年3月2日オンライン版)

 同様に、最直近のみ受診した群(RR 0.64、95%CI 0.55~0.75)、最直近は受診しなかった群(同0.75、0.63~0.88)のいずれも、有意にリスクが低下していた(ともにP<0.001)。最直近のみ受診した群、最直近は受診しなかった群のいずれに対しても、2回とも受診した群のRRは有意に低かったが(順に0.78、95%CI 0.67~0.90、0.67、同0.57~0.79、ともにP<0.001)、最直近のみ受診した群と最直近は受診しなかった群の間に有意差はなかった。

 考慮しうる自己選択バイアスを調整後、2回とも受診しなかった群に対する診断後10年以内の乳がん死のRRは、2回とも受診した群で0.56(95%CI 0.48~0.64、P<0.001)、最直近のみ受診した群で0.71(同0.58~0.86、P<0.001)、最直近は受診しなかった群で0.81(同0.66~0.98、P=0.03)といずれも有意に低下した。

 今回の結果を受け、Duffy氏らは「定期的なマンモグラフィ検査は乳がん死リスク回避に有用であり、一度のスキップで乳がん死のリスクが上昇する」と警告した。

編集部