台湾東部・花蓮県で2日に起きた特急列車「タロコ号」の脱線事故で、観光客を含む乗客多数が犠牲となった。新型コロナウイルスの感染封じ込めに成功し、島内旅行で経済回復を図りたい台湾。同日始まった先祖の墓参りをする清明節の4連休は暗転した。
 富士山よりも高い玉山を最高峰とする台湾島は、海岸線などに沿って鉄路が一周する。日本製の特急列車が走るほか、日本統治時代の古い駅舎も残り、新型コロナが広がる前、鉄道旅行は日本人観光客のハイライトの一つでもあった。
 蔡英文政権は入境規制やマスク管理などで、コロナの感染拡大を防いだ。しかし、日本を含めた海外への「旅行好き」として知られる台湾人は、渡航先を失っている。同時にインバウンド(訪問外国人旅行者)もいなくなり、台湾人による台湾観光の振興は、コロナ禍克服のカギとなった。
 大事故は初めてでなく、台湾人の悪夢をよみがえらせた。花蓮県に隣接する北東部・宜蘭県では2018年10月、特急列車「プユマ号」が脱線。18人が死亡、200人以上が負傷した。台湾の運輸安全調査委員会は「管理上の問題」と結論付けたが、製造元が日本車両製造(名古屋市)だったことから、損害賠償請求訴訟が起きた。
 今回のタロコ号は、日立製作所が製造。JR九州の「振り子式」車両と似ている。線路内に落ちた作業用車両と衝突したもようで、事故の解明はこれからだ。 (C)時事通信社