厚生労働省は3月26日に専門部会を開き、新型コロナ人ウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンのトジナメラン(商品名コミナティ)接種後に生じた副反応について検討。2月17日から3月21日までに57万8835例が接種を受け、181件でアナフィラキシー疑い例が報告されたと発表した。このうち国際的な基準(ブライトン分類)により評価したところ、47例がアナフィラキシーに該当し、約半数に食品や医薬品などのアレルギー既往歴、約2割に喘息があったことが判明した。大半が軽快している。

100万回接種当たり81件で、欧米を上回る

 国内のトジナメラン接種者におけるアナフィラキシーの発現率はおよそ1万2,000回接種に1件、100万回当たり81件で、米国の4.7件、英国の19.4件を上回るが、接種総数など複数の理由から単純な比較は難しいとしている。発生頻度は女性で高いとされているが、今回の報告でもアナフィラキシーが生じた47例中44例(94%)が女性であった。

 47例の既往歴や基礎疾患を見ると、医薬品(造影剤など)、食物、動物などのアレルギーの既往が23例で、49%を占めていた。それ以外では、食物・動物・殺虫剤のアナフィラキシーの既往歴と殺虫剤のアレルギー歴が各1例あった。基礎疾患で、最も多かったのは気管支喘息の9例、次いで花粉症の5例、慢性蕁麻疹、アトピー性皮膚炎が各2例、高血圧1例などだった。小児喘息を含め喘息の既往歴は3例だった。

ポリソルベートを含む医薬品に重度過敏症の既往歴がある人も注意

 トジナメランによるアナフィラキシーの原因として、同ワクチンの有効成分であるmRNAが封入されている脂質ナノ分子を形成する脂質二重膜の水溶性保持目的で使用されているポリエチレングリコール(PEG)が原因とされている。

 PEGを含むワクチンは国内ではトジナメランが初めてとなるが、PEGとの交叉反応性が懸念され、PEGに似た構造を持つポリソルベートを含むワクチンは国内に複数存在する。沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(商品名プレベナー13)、インフルエンザHAワクチン「第一三共」、組み換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(ガーダシル)、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン(エンセバック)、5価経口弱毒生ロタウイルスワクチン(ロタテック)、不活化ポリオワクチン(イモバックスポリオ)などだ。ワクチン以外にも、乳化剤としてさまざまな食品に用いられている。

 日本アレルギー学会が策定し、今年(2021年)3月1日に公開した指針「新型コロナウイルスワクチン接種にともなう 重度の過敏症(アナフィラキシー等)の管理・診断・治療」では、特にPEGあるいは PEG と交叉反応性があるポリソルベートを含む薬剤に対して重度の過敏症を来した既往がある人では、専門医による適切な評価とアナフィラキシーなどの重度の過敏症発症時の十分な対応ができる体制の下でない限り、「トジナメランの接種は避けるべきである」としている。「重度の過敏症」に該当するのは、アナフィラキシーあるいは全身性の皮膚・粘膜症状、喘鳴、呼吸困難、頻脈、血圧低下等のアナフィラキシーを疑わせる複数の症状を呈した場合としている。

 なお、トジナメランの1回目接種後に遅発性の局所反応(紅斑、硬結、そう痒症など)が生じただけであれば2回目接種は可能という。一方、1回目のワクチン接種で重度の過敏症を呈した場合には「同ワクチンの接種は避けるべき」としている。 

 PEGやポリソルベートを含む医薬品については、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の公式サイトで検索することができる。

(小沼紀子)