【カイロ時事】古代エジプトで強大な権勢を振るったファラオ(エジプト王)のミイラ22体が、首都カイロで大々的に「引っ越し」をすることになった。3日には古代文明の繁栄をほうふつとさせるパレードが行われ、1台ずつ王の名前が刻まれた金色の車列で移送される。これだけの数のミイラを一度に移動させるのは異例で、政府は新型コロナウイルス流行で落ち込んだエジプト観光の起爆剤にしたい考えだ。
 観光・考古省によると、移送されるミイラは王18体と女王4体。アブシンベル神殿など壮大な建物を幾つも造ったラムセス2世、エジプトの領土を最大に広げたトトメス3世、南部ルクソールの葬祭殿で知られるハトシェプスト女王ら堂々たる顔触れだ。
 ミイラはこれまで、カイロ中心部のエジプト考古学博物館でツタンカーメン王の黄金マスクなどと共に公開されていた。ただ、1902年完成の同博物館は老朽化。移送先の「国立エジプト文明博物館」では最新技術も駆使し、貴重な王のミイラをひつぎや像などと共に展示する。文明博物館のミイラギャラリーを含む展示計画は、日本人建築家の磯崎新氏が担当した。
 3000年以上前の王のミイラだけに、移送作業は厳戒態勢だ。地元メディアなどによると、準備には2年半近くを費やし、ミイラを傷つけないよう温度や湿度、照明などにも細心の注意を払う。窒素を詰めた容器に入れ、カイロ市内の悪路でも衝撃を吸収する専用車で運ぶという。作業に携わるエジプト考古学の権威ザヒ・ハワス博士は取材に「エジプトのミイラ作りの技術は最高レベルだ。かつてミイラがナイル川でカイロに運ばれた時も、全く傷は付かなかった」と話した。 (C)時事通信社