新型コロナウイルスの影響で、子供たちの学校での生活は大きな変化を強いられた。感染防止の徹底が求められる一方、行き過ぎとも取れる対策に疑問の声も上がる。感染拡大の「第4波」も懸念される中で、新年度も現場の模索は続く。
 文部科学省は昨年5月、コロナ下の学校生活の手引きを公表したが、細かな運用は各学校や教育委員会に委ねた。東京都墨田区の区立中学校では、約半数が修学旅行を実施し、残りは都内で代替行事をした。同省の担当者は「行事は工夫して原則実施するようお願いしている」と話すが、別の区の教委担当者は「国の指針は玉虫色で、結局責任を負わされる」とこぼす。
 大阪市の主婦(40)は「娘の小学校は合唱を禁止し『心で歌え』と指導している。音楽の授業が嫌いになってしまった」と明かす。前橋市の母親は「給食中の会話を禁じた上に、おかわりや食後の歯磨きまで禁止とは」と首をかしげる。
 福岡市の小学6年の女子児童は「前の方が楽しかった」と嘆く。マスクのずれを注意しないと連帯責任で班全員が叱られることもあるといい、互いの目が気になる。鬼ごっこは、手を洗っていても接触するから禁止。修学旅行が日帰りになった際も、十分な説明はなかった。「納得がいかなくても、『なぜ』と聞きづらい」と漏らした。
 学校の立場も苦しい。修学旅行を中止した横浜市の小学校長は「不安と対策の徹底を訴える保護者は無視できない。行事はしてあげたいが、安全を優先せざるを得ない」。さいたま市教委の担当者は「卒業式の記念撮影でマスクを一時外すだけでも親から抗議が出る。来年度は『何をやめるか』ではなく『どうやるか』という前向きな検討ができるよう、後押ししていきたい」とした。
 学校の危機対応が専門の九州産業大の窪田由紀教授(臨床心理学)は「学校生活で一体感や充足感を感じる機会が減り、個々のストレスが底上げされている」と指摘。こうした変化は自殺や不登校増加の一因にもなっているという。同教授は「一方的な中止や禁止の押し付けは、子供に無力感を感じさせる。慎重になるのは当然だが、話し合いやアイデアの募集など、子供が決定に携わる機会を設けることが大切だ」と呼び掛けた。 (C)時事通信社