5歳の息子に食事を与えず、餓死させたとして、保護責任者遺棄致死罪で福岡県篠栗町の母親碇利恵被告(39)と知人の赤堀恵美子被告(48)が3月に起訴された事件。母子の見守りを続けた関係機関は、赤堀被告が碇被告を精神的に支配し、食事まで管理する異常な関係を見抜けなかった。専門家は「関係者一人ひとりから個別に話を聞いていれば、人間関係を把握できたかもしれない」と指摘する。
 「体重が減っている」。男児の通う幼稚園から町に連絡が入ったのは2019年9月。町や児童相談所は同11月、虐待の早期発見、対応を視野に母子の支援に乗り出した。
 町は20年4月までの間、家庭訪問や電話を計30回以上繰り返し、実際に碇被告と複数回面会した。赤堀被告が同席することもあったが、碇被告は「信頼する知人」と紹介。男児の登園に付き添っていたことから、町は「面倒見が良い友人」と認識していたという。
 しかし、男児の死亡後、県警の捜査で、赤堀被告が碇被告を心理的な支配下に置いていたことが判明。生活費を搾取し、男児らの食事も管理していたことが分かった。
 赤堀被告について、町から「母親の友人」と報告を受けていた児童相談所も、実情を把握できなかった。20年3月、職員が家庭訪問し、男児とも会ったが、「差し迫った危険はない」と判断。対応した赤堀被告の「母親は体調が悪く、起きることができない」との説明をうのみにし、詳しい状況を尋ねなかった。
 NPO法人児童虐待防止協会(大阪市)の津崎哲郎理事長は「当事者から個別に話を聞くと、つじつまが合わないところが出てくる。赤堀被告を含め、関係者の情報を集めて対応すべきだった。親子周辺の人間関係全体を見ようとしなかったことに問題があったのではないか」と話した。 (C)時事通信社