新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の中和抗体であるcasirivimabとimdevimabを併用する抗体カクテル療法は、重症化リスクが高い新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対する治療効果が期待されており、米・トランプ前大統領が治療を受けたことでも知られる。入院していないCOVID-19成人患者に対する同抗体カクテル療法の有効性、安全性、忍容性を検証する二重盲検プラセボ対照アダプティブ第Ⅰ~Ⅲ相ランダム化比較試験(RCT)REGN-COV 2067では、入院または死亡リスクが70%有意に低下したと、日本における同抗体カクテル療法の開発権および独占販売権を有する中外製薬が発表した。

症状持続期間中央値を4日短縮

 ともにモノクローナル抗体であるcasirivimabとimdevimabは、SARS-CoV-2の受容体結合部位であるアンジオテンシン変換酵素(ACE)2受容体に非競合的に結合することで中和活性を示し、スパイク蛋白質に変異を持つSARS-CoV-2の変異株に対しても効果を発揮することが期待されている。

 REGN-COV2067は、入院していないCOVID-19患者に対する抗体カクテル療法の治療効果を検証した最大規模の臨床試験である。重症化の危険因子を1つ以上有する(肥満58%、50歳以上51%、高血圧を含む心血管疾患36%など)成人のCOVID-19患者を同抗体カクテル療法1,200mg静注群(736例)とプラセボ1,200mg静注群(748例)、同抗体カクテル療法2,400mg静注群(1,355例)とプラセボ2,400mg静注群(1,314例)にランダムに割り付け、治療効果を前向きに検証した。

 ベースラインから29日までのCOVID-19による入院・死亡のリスクは、プラセボ1,200mg静注群に対し抗体カクテル療法1,200mg静注群では70%〔24例(3.2%) vs. 7例(1.0%)、P=0.0024〕、プラセボ2,400mg静注群に対し抗体カクテル療法2,400mg静注群では71%〔62例(4.6%) vs. 18例(1.3%)、P<0.0001〕といずれも有意に低下した。

 症状持続期間の中央値は、プラセボ両群の各14日に対し、抗体カクテル療法の両群ではともに10日と、4日間の有意な短縮が認められた(いずれもP<0.0001)。

 また、投与日から169日目までに入手可能な全患者データを用いて安全性評価を実施したところ、新たな安全性の懸念は示されなかったという。重篤な有害事象は主にCOVID-19と関連しており、抗体カクテル療法1,200mg静注群で1.1%、同2,400mg静注群で1.3%、プラセボ両群で4.0%に発生。死亡は抗体カクテル療法1,200mg静注群で1例、同2,400mg静注群で1例、プラセボ両群で5例に認められた。

 抗体カクテル療法の両群で明確な有効性が認められたため、独立データモニタリング委員会の勧告に従い、同試験は途中でプラセボ両群への登録が中止された。

 casirivimab+imdevimab併用抗体カクテル療法については、現在、COVID-19の入院患者が対象の第Ⅱ/Ⅲ相試験、英国の入院患者が対象の非盲検第Ⅲ相RECOVERY試験、COVID-19患者との家庭内濃厚接触者における予防を目的とした第Ⅲ相試験が進行中である。両薬に対する臨床試験には、2021年3月時点で世界各国から約2万5,000例以上が参加している。

(渕本 稔)