新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した小児で、全身の複数臓器に障害を起こす小児多系統炎症性症候群(MIS-C)を生じる例が国内でも報告されている。日本川崎病学会は関連学会に対しMIS-C発症例で現れる特徴的な症状、背景、経過、検査所見などについて通知した。「共通した特徴があり、年齢層や症状からさまざまな施設や診療科を受診する可能性がある」として、消化器内科、救急科、循環器科、集中治療科、感染症科、小児救急、一般小児科では注意してほしいと呼びかけている。

川崎病に類似した症状示す例も、別の疾患

 欧米を中心とした海外では、一定の割合で重症化する小児の患者が報告されている。成人で肺炎が悪化し重症化することが多いのとは異なり、MIS-Cでは下痢、発熱、発疹などが見られ、心機能が低下することが特徴だという。SARS-CoV-2に感染した回復期(2~6週後)に学童期以降の小児にこうした症状が認められる傾向があり、国内で感染者が増えた場合、同様の例が発生することが危惧されていた。
 
 国内でも今年(2021年)2月第2週後半から3月12日までに、少数だがMIS-Cの診断基準を満たす症例が報告されている。日本小児科学会と日本川崎病学会は連名で2月24日、小児の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者で重症化例が確認されたことを公式サイトに掲載した(関連記事「新型コロナ、国内で小児重症例を確認」)。いずれも治療により回復したが、中には川崎病に似た症状を示す例や川崎病の診断項目を満たす例があった。ただし、MIS-Cは川崎病とは異なる疾患と考えられている(関連記事「コロナの川崎病様症状、本家との違いを解説」)。

主に10歳代で発症、免疫グロブリンによる治療が有効

 今回の通知によると、国内のMIS-C発症例の背景は、COVID-19発症後または家族内にSARS-CoV-2感染者がいる小児で、年齢は主に10歳代(現時点の判明例で9~16歳)。性に関係なく発症が確認され、いずれも軽症または無症状だった。

 発症後の経過は、経過中または回復中、2~6週後に消化器症状として腹痛、下痢、嘔吐、回盲部リンパ節腫脹が複数報告があり、腹膜炎が見られた例もあった。血圧低下、ショック、心不全症状が認められた。心エコー所見では、40%前後の左室駆出率低下、冠動脈拡大例が一部で見られた(現時点では小瘤まで)。心筋炎が認められたものの、不整脈は少なかった。

 また、治療ではカテコールアミン(副腎皮質ホルモン)への反応性は比較的良好で、免疫グロブリン療法に有効な印象があったという。複数例で川崎病の主症状(発熱、発疹、眼球結膜充血、口唇口腔所見、四肢末端の腫脹、頸部リンパ節腫脹)を3~5つ認めた。 

 検査所見を見ると、①血小板数が発病時は10万/μL前後に減少②AST/ALT値上昇③C反応性蛋白(CRP)値は2桁(10mg/dL以上)④フェリチン、インターロイキン(IL)-6高値⑤B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、N末端プロBNP(NT-proBNP)高値―といった特徴が確認された。

(小沼紀子)