全ての妊婦に推奨されている妊娠糖尿病(GDM)スクリーニング検査には、空腹時75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)によるワンステップ方式と、随時50gグルコースチャレンジ(GCT)糖負荷試験の結果が閾値を超えた場合に空腹時100gOGTTを行うツーステップ方式があるが、どちらを用いるべきかについての科学的なコンセンサスはない。米・Kaiser Permanente NorthwestのTeresa A. Hillier氏らは、妊婦約2万4,000例を対象としたランダム化比較試験(RCT)で両方式を比較した結果、周産期合併症リスクに有意差はなかったとN Engl J Med2021; 384: 895-904)に発表した。

診断率はワンステップ方式で2倍に

 GDMスクリーニングの2方式には、それぞれ利点と欠点がある。ワンステップ方式は1回の検査で済むが、全例に検査前の絶食が求められる。ツーステップ方式は、1回目の検査は絶食不要で定期妊婦検診に組み込みやすいが、約20%は絶食が必要な2回目の検査を受けることになる。また、ワンステップ方式はツーステップ方式よりカットオフ値が低く(日本では75gOGTTで空腹時血糖92mg/dL以上、50gGCTで140mg/dL以上)、より軽度の高血糖でGDMと判定される。

 今回の試験では、米国の医療施設2カ所を受診した全ての妊婦2万3,792例(平均年齢29歳)を登録し、ワンステップ群(1万1,922例)とツーステップ群(1万1,870例)に1:1でランダムに割り付けた。主要評価項目は、妊娠糖尿病の診断、在胎不当過大(LGA)、周産期複合転帰(死産、新生児死亡、肩甲難産、骨折、分娩外傷に関連する腕または手の神経麻痺)、妊娠高血圧/妊娠高血圧腎症、初回帝王切開とした。

 割り付けられたスクリーニング方式の遵守率は、ワンステップ群が66%、ツーステップ群が92%だった。また、GDMの診断率はワンステップ群でツーステップ群の約2倍と高かった〔ワンステップ群16.5% vs. ツーステップ群8.5%、未調整相対リスク(RR)1.94、97.5%CI 1.79~2.11〕。

実際の診療状況を反映、一般化できる可能性が高い

 Intention-to-treat(ITT)解析の結果、LGA(ワンステップ群8.9% vs. ツーステップ群9.2%、RR 0.95、97.5%CI 0.87~1.05)、周産期複合転帰(同3.1% vs. 3.0%、1.04、0.88~1.23)、妊娠高血圧/妊娠高血圧腎症(同13.6% vs. 13.5%、1.00、0.93~1.08)、初回帝王切開(同24.0% vs. 24.6%、0.98、0.93~1.02)については両群で有意差が認められなかった。

 これらの結果は、逆確率重み付け法により遵守率の群間差を補正後のITT解析においても同様だった。

 以上を踏まえ、Hillier氏らは「GDMの診断率はワンステップ方式がツーステップ方式の約2倍と高かったが、周産期合併症リスクは両方式で有意差がなかった」と結論。「今回の試験は、2施設を受診した全ての妊婦を対象に実際の診療状況を反映しているため、結果を一般化できる可能性が高い」と付言している。

(太田敦子)