英・St. James's University HospitalのPeter Hillmen氏らは、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に対する補体C3阻害薬pegcetacoplanの有効性と安全性を、エクリズマブを対照に検討する第Ⅲ相非盲検ランダム化比較試験を実施。エクリズマブ群と比べpegcetacoplan群で16週後のヘモグロビン(Hb)値の改善が大きかったことなどをN Engl J Med2021; 384: 1028-1037)で報告した。

4週の併用後に単剤で16週治療

 PNHは、慢性の補体介在性溶血を主徴とする希少疾患である。抗補体C5モノクローナル抗体のエクリズマブは、補体カスケードの終末でC5を阻害し血管内溶血を抑制するが、カスケード上流のC3には影響を与えない。そのため多くの患者において、C3感作赤血球が脾臓で除去される血管外溶血が顕性化し、エクリズマブ治療にもかかわらず溶血所見が十分に改善せずに輸血の継続が必要な場合もある。PEG化ペプチドであるpegcetacoplanは、補体C3を標的とする。

 今回の試験は、2018年6月~19年11月に実施。エクリズマブ治療によってもHb値10.5g/dL未満が持続する成人PNH患者に対し、4週間の導入期間にpegcetacoplan(1,080mg/週2回皮下注射)を追加し、その後pegcetacoplan単剤投与群(41例)とエクリズマブ単剤投与群(39例)にランダムに割り付けて16週治療した。

 主要評価項目は、ベースラインと比較した16週後のHb値の平均変化量とし、臨床的・血液学的溶血所見、安全性についても評価した。

Hb値だけでなく多くの血液学的指標を改善

 16週後のHb値の改善は、pegcetacoplan群でエクリズマブ群に比べて優れ()、調整後の平均群間差は3.84g/dL(95%CI 2.33~5.34g/dL、P<0.001)であった。pegcetacoplan群35例(85%)、エクリズマブ群6例(15%)が輸血不要となった(P<0.001)。

図. 平均Hb値の推移

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N Engl J Med 2021; 384: 1028-1037

 血管外溶血の指標である網状赤血球の絶対数は、エクリズマブ群で若干増加したのに対しpegcetacoplan群では減少し、pegcetacoplanのエクリズマブに対する非劣性が示された。一方、血管内溶血の指標である乳酸脱水素酵素(LDH)の変化に両群で差はなかった。

 また、慢性疾患患者における倦怠感サブスケール(FACIT-F)のスコアがpegcetacoplan群は9.2ポイント改善し、エクリズマブ群では2.7ポイント悪化した。

 主な有害事象は、pegcetacoplan群、エクリズマブ群の順に、注射部位反応(37% vs. 3%)、下痢(22% vs. 3%)、溶血発作(10% vs. 23%)、頭痛(同7% vs. 23%)、倦怠感(5% vs. 15%)であった。両群とも髄膜炎発症はなかった。

 主要な血液学的変数が正常範囲に改善した患者の割合は、pegcetacoplan群で高かった(pegcetacoplan群、エクリズマブ群の順に、Hb値34% vs. 0%、網状赤血球数78% vs. 3%、LDH値 71% vs. 15%、総ビリルビン値63% vs. 8%)。

 pegcetacoplan投与により、Hb値だけでなく幅広い血液学的指標を改善できたことから、Hillmen氏らは「C3阻害は、血管内溶血のコントロール維持と血管外溶血予防の双方に適切な方法であり、PNHの治療においてエクリズマブよりも有効である可能性がある」と結論している。

(小路浩史)