新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンを2回接種した者では非接種者と比べて無症状感染リスクが80%低下することが、米・Mayo ClinicのAaron J. Tande氏、Benjamin D. Pollock氏らの研究によって明らかになった。同氏らはMayo Clinic受診者4万例を対象に検討した結果をClin Infect Dis2021年3月10日オンライン版)に発表した。

接種者全体では56%のリスク低下

 Mayo Clinicおよび関連施設では受診者に対し医療措置/手術前にSARS-CoV-2のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査を実施している。Tande氏らは、2020年12月17日~21年2月8日にMayo Clinic(ミネソタ州/アリゾナ州)またはMayo Clinic Health System(ミネソタ州/ウィスコンシン州)で医療措置/手術前にSARS-CoV-2に対するPCR検査を受けた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)症状がない患者を対象に、SARS-CoV-2のmRNAワクチン〔ファイザー製(94.0%)またはモデルナ社製〕を少なくとも1回接種した者と非接種者に分けてPCR検査の結果を比較、検討した。

 研究期間中にCOVID-19無症状患者3万9,156例(平均年齢54.2歳、女性52.5%)に対し、COVID-19に対するPCR検査4万8,333件が実施された。4万8,333件のうちSARS-CoV-2のmRNAワクチンを少なくとも1回接種した患者に対して行われた検査は4万5,327件でうち1,436件(3.2%)が陽性、ワクチン非接種者に行われた検査は3,006件でうち42件(1.4%)が陽性だった。ワクチン接種6週間後の累積陽性率は1回接種者で2.9%、2回接種者で1.3%だった。

 ワクチン非接種者に対して接種者では無症状COVID-19リスクが56%〔相対リスク(RR)0.44、95%CI 0.33~0.60、P<0.0001〕、1回接種後10日以上経過した接種者では72%(同0.28、0.16~0.49、P<0.0001)、2回接種後0日以上経過した接種者では73%(同0.27、0.12~0.60、P<0.0001)低下した。

1回接種でも10日以上経過者でリスク79%減

 Log-binomial回帰法で年齢、性、人種、居住地と病院の位置関係、Health Systemの地域などを調整して解析した結果、非接種者に対して接種者では無症状COVID-19リスクが65%〔調整RR(aRR)0.35、95%CI 0.26~0.47、P<0.0001〕低下、1回接種後10日以上経過した者では無症状COVID-19リスク79%(同0.21、0.12~0.37、P<0.0001)、2回接種後0日以上経過した者では80%(同0.20、0.09~0.44、P<0.0001)いずれも有意に低下した。

 今回94.0%を占めたファイザーのワクチンに限定して解析すると、非接種者に対してワクチン1回接種後10日以上経過した者では無症状COVID-19リスクが79%(aRR 0.21、0.11~0.38、P<0.0001)、2回接種後0日以上経過した者では80%(同0.20、0.09~0.44、P<0.0001)いずれも有意に低下した。

 以上から、Tande氏らは「非接種者と比べてmRNA SARS-CoV-2ワクチンを2回接種した者では無症状COVID-19リスクが80%低下した。これにより、無自覚のまま他者に感染を拡大する可能性がある無症状感染者を有意に抑制するmRNAワクチンの効果が明確になった」と結論。「今回と今後の研究結果は、現行のワクチン接種後のガイドラインにおけるリスク・ベネフィットのバランスに関して必要な情報となるだろう」と付言している。

大江 円