今年(2021年)1月、わが国初のがん悪液質治療薬としてグレリン様作用薬アナモレリン(商品名エドルミズ)が承認された。一方、がん悪液質に関する明確な基準や共通認識が確立されているとは言えず、また国内臨床試験における症例数が少ないことから、小野薬品工業は同薬の「適正使用に関するお願い」を策定。患者の選定や副作用対策を中心に解説している。

適正症例や副作用マネジメントなどについて解説

 European Palliative Care Research Collaborative(EPCRC)のガイドラインでは、がん悪液質は「従来の栄養サポートで改善することは困難で、進行性の機能障害をもたらし、著しい筋組織の減少を特徴とする複合的な代謝異常症候群」と定義されており、がん悪液質に対する治療介入の臨床的意義は、食欲を増進し骨格筋や臓器組織から構成される除脂肪体重の減少(体重減少)を阻止することとされている。

 アナモレリンの効能・効果は「非小細胞肺がん、胃がん、膵がん、大腸がんにおける悪液質」である。これに加え、使用上の注意として下記が定められている。

  1. 切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、胃がん、膵がん、大腸がんのがん悪液質患者に使用すること。
  2. 栄養療法などで効果不十分ながん悪液質の患者に使用すること。
  3. 6カ月以内に5%以上の体重減少と食欲不振があり、かつ以下の①〜③のうち2つ以上を認める患者に使用すること。
    • ①疲労また倦怠感
    • ②全身の筋力低下
    • ③CRP値0.5mg/dL超、ヘモグロビン値12g/dL未満またはアルブミン値3.2g/dL未満のいずれか1つ以上
  4. 食事の経口摂取が困難又は食事の消化吸収不良の患者には使用しないこと。

 アナモレリンの主な副作用としては、γ-GTP増加、グリコヘモグロビン増加が報告されている。また、重大な副作用として刺激伝導系抑制、高血糖・糖尿病の悪化、肝機能障害が挙げられている。そのため、今回策定された適正使用文書では、副作用マネジメントについて下記のように解説されている。

  • 心電図異常(顕著なPR間隔またはQRS幅の延長、QT間隔の延長など)、房室ブロック、頻脈、徐脈、動悸、血圧低下、上室性期外収縮などがあらわれることがあるので、本剤の投与に際しては、心電図、脈拍、血圧、心胸比、電解質などを定期的に測定し、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、本剤投与初期には特に注意すること。
  • 高血糖があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に血糖値や尿糖の測定を行うこと。口渇、頻尿などの症状の発現に注意し、必要に応じてインスリン、経口血糖降下薬の投与や本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
  • AST、ALT、ALP、γ-GTP、血中ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前および投与期間中は定期的に肝機能検査を行うこと。

 アナモレリンの効果に関するモニタリングについては、「投与開始3週目を目途に、体重の維持・増加も食欲亢進作用も認められず、無効例と判断されアナモレリンの効果が認められない場合、投与中止が望ましい」とし、同薬の吸収は食事の影響を受けやすいため、用法を遵守しているかも併せて確認することが推奨されている。

(編集部)