南アフリカ・University of WitwatersrandのShabir A. Madhi氏らは、同国の成人2,000例超を対象にした多施設二重盲検ランダム化比較試験で、アストラゼネカ社と英・University of Oxfordが共同開発した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンChAdOx1 nCoV19(AZD1222)の安全性と有効性を検討。その結果、南アフリカで昨年(2020年)12月に検出されたSARS-CoV-2変異株B.1.351(501Y.V2)に対しては有効性が認められなかったとN Engl J Med2021年3月16日オンライン版)に発表した。同試験における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発症例は、9割超が南アフリカ変異株B.1.351によるものだった。

HIV陰性の若年成人で検討

 SARS-CoV-2をめぐっては、南アフリカ変異株B.1.351を含む複数種の変異株の感染例が報告されており、変異株に対するSARS-CoV-2ワクチンの有効性が注目されている。

 同試験では、昨年6月24日~11月9日にHIV陰性の18歳以上65歳未満の成人2,026例(年齢中央値30歳)を登録。21~35日間隔で2回、ウイルス粒子5×1010個を含む標準用量のAZD1222ワクチンを接種する群と、プラセボ(生理食塩液)を接種する群に1:1でランダムに割り付けた。ワクチン群の1,011例とプラセボ群の1,010例が、少なくとも1回接種を受けた。

 2回目の接種後に25例から血清サンプルを採取し、COVID-19のパンデミック初期に最初に報告された変異株D614Gと南アフリカ変異株B.1.351に対する中和試験を行った。生ウイルスおよび疑似ウイルスのいずれの中和試験でも、南アフリカ変異株B.1.351に対する抵抗性はプラセボ群に比べてワクチン群で高かった。

発症例の92.9%が南ア変異株、ワクチン有効率10.4%

 主要評価項目は、2回目の接種後14日目以降における症候性COVID-19の発症予防効果および安全性とした。

 解析の結果、ワクチン群では2.5%(750例中19例)、プラセボ群では3.2%(717例中23例)が軽症~中等症COVID-19を発症し、全体でのワクチン有効率は21.9%(95%CI -49.9~59.8%)だった。

 また、これらのCOVID-19発症例の92.9%(42例中39例)が南アフリカ変異株B.1.351によるものだった。副次評価項目として算出した、同変異株に対するワクチン有効率は10.4%(95%CI -76.8~54.8%)だった。

 重篤な有害事象の発現率は2群で同等だった。

 以上を踏まえ、Madhi氏らは「AZD1222ワクチン2回接種に、SARS-CoV-2南アフリカ変異株B.1.351による軽症~中等症COVID-19の発症予防効果は認められなかった」と結論した。

(太田敦子)