昨年(2020年)9月に英国ケント州で特定され、感染の拡大が認められている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株(B.1.1.7系統、VOC-202012/01)。英・University of ExeterのRobert Challen氏らは、地域ベースのデータを用いてVOC-202012/01の感染者5万4,906例と従来株の感染者を比較したところ、死亡リスクが1.6倍になることが認められたことをBMJ2021;372:n579)に発表。「感染性が高く死亡リスクを高める変異株は、公衆衛生上の深刻な脅威となる可能性がある」と述べている。

1,000人当たりの死亡が2.5例から4.1例に

 Challen氏らは、英国における地域の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査施設で、2020年10月1日〜21年1月29日にSARS-CoV-2陽性が確認されたVOC-202012/01感染者5万4,906例と、年齢、性、人種、居住地域、Index of Multiple Deprivation(IMD:英国の各地域における相対的貧困度の指標)、陽性となった検体の採取日をマッチさせた従来株感染者5万4,906例を比較するマッチドコホート研究を実施。

 主要評価項目はSARS-CoV-2陽性確認から28日以内の死亡とし、2021年2月12日まで追跡した。

 追跡期間中に従来株群で141例、変異株群で227例が死亡した。Cox回帰分析の結果、従来株群に対する変異株群の死亡ハザード比は1.64 (95%CI 1.32〜2.04、P<0.001)と有意にリスクが上昇した。今回対象とした地域ベースのSARS-CoV-2陽性集団は、より重症で高齢者が多い病院ベースのSARS-CoV-2陽性集団に比べ死亡リスクが低い集団と考えられるにもかかわらず、1,000人当たりの死亡が2.5例→4.1例と増加することが示された。

死者を減らすためのより厳格な措置が妥当

 Challen氏らは「今回の結果を他の集団に一般化できるとすれば、VOC-202012/01は従来株と比べて死亡率の上昇をもたらす可能性がある」と指摘。

 変異株の流行が拡大した英国では、全土でロックダウンや渡航制限などの厳しい措置が続いている。同氏らは「今回の知見は、医療体制や国内外の感染制御に関する政策に影響を及ぼすものである。COVID-19による死亡を防ぐには、より組織的かつ厳格な対策の実施が妥当だと考えられる」と述べている。

(木下愛美)