世界保健機関(WHO)は3月12日、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が開発した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンAd26.COV2.Sについて、を緊急使用リスト(EUL)およびSARS-CoV-2ワクチンの公平な分配を行う国際的枠組みCOVAXの供給リストに追加したと発表した。この決定は、欧州医薬品庁(EMA)の承認に基づき行われた。

変異株に対する有効性も確認

 Ad26.COV2.Sは、かぜウイルスの一種であるアデノウイルスの血清型26(Ad26)を用いた遺伝子組み換え体ベクターワクチンである。非増殖型アデノウイルスを介して、SARS-CoV-2に特異的なスパイク蛋白質の遺伝子情報を組み込み、接種後に体内の免疫応答を誘導してSARS-CoV-2に対する抗体を産生する。

 ファイザー社やモデルナ社の開発したメッセンジャーRNA(mRNA)とは異なり、単回投与で済むという特徴がある。また、-20℃で2年間の安定保管が可能だが、環境によっては少なくとも3カ月間は2~8℃で冷蔵保管が可能だという。

 今回の発表により、Ad26.COV2.SはWHOがEULに追加した最初の単回投与レジメンとなった。

 SARS-CoV-2ワクチンでは変異株への有効性が気になるところだが、Ad26.COV2.Sは特に有効性の低下が懸念されている南アフリカで検出された「501Y.V2」を含む複数の変異株に対する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化予防効果も確認されている。

 同ワクチンは高齢者に対する有効性も認められており、各国のワクチン接種計画が加速することが予想される。WHOは近日中にワクチンの使用に関する推奨事項を策定する予定だという。COVAXでは同ワクチン5億回分の供給を予約している。

(渕本 稔)