イスラエル・Tel-Aviv UniversityのEugene Merzon氏らは、同国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行第一波時に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)検査を受けた約1万例を対象に、COVID-19リスクに対する低用量アスピリンの効果を検討し、その結果をFEBS J2021年2月23日オンライン版)で報告。低用量アスピリン服用者では非服用者に比べCOVID-19リスクが29%低下したという。

PCR陰性化までの日数短い

 これまでの研究で、アスピリンには抗炎症作用に加えて、自然免疫と獲得免疫を修飾してウイルス感染症に対するヒトの免疫システムを補助する可能性が示唆されている。そこでMerzon氏らは、イスラエルでCOVID-19が最初に流行した時期に、低用量アスピリンの服用がCOVID-19リスクにどのような影響を及ぼしたかを検討した。

 同氏らはイスラエルの健康維持機構Leumit Health Servicesのデータベースから、2020年2月1日~6月30日にSARS-CoV-2に対するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査を受けた40歳以上の1万477例(陽性662例、陰性9,815例)のデータを抽出。低用量アスピリン服用者と非服用者に分けてCOVID-19リスクを検討した。

 検討の結果、低用量アスピリン(75mg)を服用していた患者の割合は非COVID-19患者に比べてCOVID-19患者で有意に低かった〔15.77%(1,548例)vs. 11.03%(73例)〕。多重ロジスティック回帰モデルで性、年齢、喫煙状況、服薬、併存症を調整した結果、COVID-19リスクはアスピリン非服用者に対し服用者で29%低かった(調整オッズ比0.71、95%CI 0.51~0.99、P=0.041)。

 COVID-19患者のうちアスピリン服用者(73例)は非服用者(589例)に比べて、年齢が有意に高く(68.06歳 vs. 56.63歳、P<0.001)、BMIが有意に低く(28.77 vs. 30.37、P=0.0189)、高血圧(76.71% vs. 25.64%、P<0.001)、糖尿病(64.38% vs. 22.07%、P<0.001)、慢性閉塞性肺疾患(COPD、15.07% vs. 7.3%、P=0.023)の罹患率が有意に高かった。また、PCRが陰性化する(陽性から2回陰性となる)までの日数はアスピリン服用者で有意に短かった(19.8日 vs. 21.9日、 P=0.045)。

 入院治療を受けたCOVID-19患者のうち生存は105例、死亡は7例で、アスピリン服用はそれぞれ19.15%(20例)、14.29%(1例)と死亡例に比べ生存例の割合が高かったが、両者に有意差はなかった(P=0.75)。

 研究責任者でイスラエル・Barzilai Medical CenterのEli Magen氏は「低用量アスピリンのCOVID-19に対する効果は、予備的研究で認められた段階だが非常に期待できる」と述べた。さらに「今後は、他の病院や国々の患者を含めより多くの人を対象とした試験とランダム化比較試験によって結果を検証することが重要だ」と指摘している。

大江 円