世界の死因トップ10に入る結核。1997年の世界保健総会で制定して以来、世界保健機関(WHO)は3月24日の「世界結核デー(World Tuberculosis Day)を通じて啓発活動を続けている。今年(2021年)は"The Clock is Ticking(時が刻々と迫っている)"をテーマに掲げ、結核の終息に向けた行動を促している(WHO「World Tuberculosis Day 2021」公式サイト)。なお、3月24日は「コッホの4原則」で知られるドイツの細菌学者ロベルト・コッホが1882年に結核菌の発見を発表した日。

2030年の結核死95%減に向けた取り組み

 WHOが1997年から毎年発行している"GLOBAL TUBERCULOSIS REPORT"の最新版(2020年版)によると、2019年の世界の結核発症者数は1,000万例で、結核死は140万例に上る。結核の終息に向けた戦略「End TB Strategy」において、WHOでは2015年と比べ2030年に結核死95%減少などの達成を掲げているが、結核発症者数は減少傾向にあるもののその速度は十分ではない。そこで、今回のテーマは危機意識にフォーカスした"The Clock is Ticking"とした。今年の主なキャンペーンの内容は次の通り()。

表. 世界結核デー2021の主なキャンペーン内容(一部抜粋・要約)

  • 結核の終息戦略で掲げた目標達成に向けた取り組みを加速させる

  • 2022年までに4,000万人(小児350万人、治療抵抗性患者150万人を含む)の結核診断および治療を達成する

  • 2022年までに3,000万人(結核患者を持つ2,400万人の家族を含む)に結核予防医療を実施する

  • 結核の終息に向けた取り組みへの支援金として年間130億ドルを確保する

  • 結核の研究費として年間20億ドル以上を投じる

(WHO「World Tuberculosis Day 2021」公式サイトより)

 一方、日本における結核の動向については、厚生労働省の「結核登録者情報調査年報」によると2019年の罹患率は11.5(人口10万人対)で、前年比0.8ポイント低下し、新規登録患者数は1万4,460例(前年比−7.2%)、死亡者数は2,088例(前年比−166例)で、死因順位も31位と前年に比べ低下している。

松浦庸夫