厚生労働省は昨日(3月10日)、国内で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの接種を受けた医療従事者において、初となる男性でのアナフィラキシー発現例を含む8例が新たに報告され、国内のアナフィラキシー発現例は計25例になったと発表した。男性の発現例では、基礎疾患として気管支喘息、糖尿病、アトピー性皮膚炎があり、他のワクチンによる発熱、発疹および食品や医薬品に対するアレルギーの既往歴があった。

食品や医薬品のアレルギー、ワクチンによる発疹などの既往が各々半数

 この日までにSARS-CoV-2ワクチンの接種を受けたのは14万8,950人で、うち35人は2回目の接種を受けた。厚労省によると、アナフィラキシー例として昨日報告されたのは、50歳代の男性1例、20~50歳代の女性7例で、これらを含めた発現率は0.017%となる。

 8例はいずれも今月9~10日にワクチンの接種を受けた後、めまい、吐き気、咳、皮疹、痒みなどの症状が見られた。医療機関からの報告では、評価不能とされた1例を除く7例が「接種との関連あり」と評価された。

 全例に化粧品や食物、医薬品に対するアレルギーや、ワクチンによる蕁麻疹、発疹などの既往歴があった。内訳を見ると、化粧品、食品、医薬品のいずれかに対するアレルギーの既往歴が4例、他のワクチンによる蕁麻疹、発熱、発疹、頭痛などの既往歴が4例で、基礎疾患としてアトピー性皮膚炎、気管支喘息がそれぞれ2例、糖尿病が1例であった。

 薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会会長で埼玉県立小児医療センター病院長の岡明氏は、「アナフィラキシーの診断を受けた8例全員にさまざまなアレルギー関連疾患の既往があり、あらためて既往歴の丁寧な聞き取りが重要であると思われる」とのコメントを発表した。

低血圧や失神感が認められた例も

 ワクチン接種後に、低血圧症状や失神感を訴えた例が、それぞれ8例中2例で確認された。1例(40歳代女性、喘息や医薬品に対するアレルギーの既往あり)は、接種後20分時点で吐き気、咳に加え、低血圧症状が認められたため投薬した。接種後およそ1時間半の時点で寒気、発熱が生じたため追加の投薬を行い、軽快した。

 別の1例(20歳代女性、薬疹、他のワクチンによる頭痛、小児喘息の既往歴あり)は、ワクチン接種直後に頭痛が生じ、接種後15分の時点でめまい、皮膚の発赤が現れ、安静により改善したものの、接種後60分時点で失神感、頭痛の悪化、悪寒などの症状が生じた。そのため、投薬を実施したが、接種後2時間10分の時点で喉の痒みなどが認められたため入院した。症状が改善しなかったことから、追加で投薬し、その後回復した。

 岡氏は、今回初めて男性の発現例が報告されたことに対し、「この男性はアレルギー関連疾患や症状の既往があった。接種前に既往歴を申告する際、どの様な点に注意したらよいかなども含め、一般の方々への適切な情報提供についても検討したい」とした。また、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会会長で東京医科歯科大学教授の森尾友宏氏は「さまざまなアレルギー反応が報告されており、アナフィラキシーの評価方法や、既知および最新の海外での発生状況との比較なども合わせて議論したい」とコメントしている。

(小沼紀子)