インスリン様成長因子(IGF)-1は、胎児および若年期の成長と2型糖尿病発症に関連することが知られている。シンガポール・National University of SingaporeのTingting Geng氏らは、UK Biobank登録者18万人超を対象に出生時の体重および成人時の血中IGF-1濃度と2型糖尿病発症リスクとの関連を検討する前向きコホート研究を実施。その結果、出生時体重が2,500g以上の男性ではIGF-1濃度と2型糖尿病発症リスクに逆相関関係が見られた、とBMJ Open Diabetes Res Care (2021; 9: e001885)に発表した。

IGF-1濃度依存的に糖尿病リスクと関連

 Geng氏らは、UK Biobank登録者のうちベースライン時に糖尿病や心血管疾患を有していない39〜70歳の18万1,090人(女性11万2,736人、男性6万8,354人)を対象に、出生時体重および成人時の血中IGF-1濃度と2型糖尿病発症リスクとの関連について検討した。

 社会的・人口統計学的情報、食事、ライフスタイル(喫煙状況、アルコール摂取量、睡眠時間、習慣的な身体活動)、若年期の生活要因(出生時体重および母親の喫煙歴)、病歴に関する情報を入手。血中IGF-1濃度は化学発光イムノアッセイ法を使用して測定。出生時体重は自己申告によるものだが、遺伝的に決定される出生時体重を定義するために遺伝的リスクスコア(GRS)を算出した。評価項目は2型糖尿病の発症とした。

 平均9.9(標準偏差1.4)年の追跡期間中に3,299人が2型糖尿病を発症した。出生時体重2,500g以上では、IGF-1濃度と2型糖尿病に逆相関が認められ、IGF-1濃度が低いほど2型糖尿病発症リスクが有意に高かった(傾向のP <0.001)。

 危険因子などを調整しIGF-1濃度で5分位に分けると、出生時体重2,500g以上の2型糖尿病リスクは第1五分位群に対して第2五分位群では14%〔ハザード比(HR) 0.86、95%CI 0.76〜0.97〕、第3五分位群では18%(同0.82、0.72〜0.93)、第4五分位群では29%(同0.71、0.61〜0.81)、第5五分位群では26%(同0.74、0.64〜0.85)低かった。

 一方、出生時体重2,500g未満では、IGF-1値と2型糖尿病リスクとの間に有意な関連は認められなかった(傾向のP=0.61)。

 なお、2型糖尿病発症における出生時体重とIGF-1濃度との相互作用は男性では認められた(相互作用のP=0.01)が、女性では認められなかった(相互作用のP= 0.11)。男性においてのみ、出生時体重2,500g以上でIGF-1濃度と2型糖尿病リスクに逆相関が認められた(傾向のP<0.001)。

 2型糖尿病発症リスクにおいて出生時体重のGRSとIGF-1濃度に相互作用は認められなかった(相互作用のP= 0.47)。

若年期の危険因子の重要性を強調

 IGF-1濃度低値例には、高齢、貧困、喫煙者、飲酒の習慣、BMI高値、睡眠時間が短/長い、健康状態不良、高血圧、母親の喫煙歴の他、総コレステロール、トリグリセライド、C反応性蛋白が高値などの傾向が認められた。

 以上の結果から、Geng氏は「出生時体重が成人期の血中IGF-1値と2型糖尿病リスクの関係に影響を及ぼすこと、成人期の2型糖尿病発症は若年期と成人期の両方の危険因子によって決定されることが示された。IGF-1と2型糖尿病に対する生涯にわたる予防戦略を講じる上で、若年期の危険因子の重要性を強調するものだ」と結論している。

今手麻衣