日本脳卒中学会と日本循環器学会は3月2日、「脳卒中と循環器病克服第二次5ヵ年計画」(以下、第二次計画)を公表した。同計画は、2016年12月に策定された「脳卒中と循環器病克服5ヵ年計画」(以下、第一次計画)の改訂版。同日、両学会が合同で記者発表会を開き、第二次計画策定の中心メンバーである東北大学脳神経外科教授の冨永悌二氏、長崎大学循環器内科教授の前村浩二氏らが計画の概要などを説明した。

rt-PA静注の均霑化など多くの施策を実現

 第一次計画の発表後、脳卒中および循環器領域ではさまざまな施策が推進、実現されてきた。2019年12月には「脳卒中・循環器病対策基本法」が施行(成立は2018年12月)、昨年(2020年)10月には同法に基づく「循環器病対策推進基本計画」が閣議決定された。現在は、各都道府県で地域の実情を反映した「循環器病対策推進計画」の検討が行われている。

 他にも、脳卒中領域では急性期脳梗塞患者にrt-PA静注療法を24時間365日施行できる「一次脳卒中センター(PSC)」の認定が2019年度から開始され、計974施設により人口の98.4%がカバーされるなど均霑化が達成された。循環器領域では今年度から心不全療養指導士の認定制度がスタートした他、2018年には基礎研究の活性化を企図した日本循環器学会基礎研究フォーラム(BCVR)が創設されている。

災害時や感染症蔓延時の対応にも言及

 第二次計画では、第一次計画と同じく脳卒中、心不全、血管病を「重要3疾患」に指定。「脳卒中と循環器病による年齢調整死亡率を2020年に比較して5%減少させる」「計画期間中の5年間で健康寿命をさらに延伸させる」という2つの目標に向け、①人材育成②医療体制の充実③登録事業の促進④予防・国民への啓発⑤臨床・基礎研究の強化−の5戦略事業を推進するとした。

 具体的には、小児期からの継続的な診療を可能にする医療体制の充実や、災害時・新興感染症流行時への対応が盛り込まれた。特に循環器領域では、直接的経皮的冠動脈インターベンション (primary PCI)などの急性期治療と回復期・維持期のリハビリテーションについて、各医療機関の役割分担に関する素案を提示。登録事業については、既存のレジストリを基に悉皆性の高い登録システムを構築し、個々の健診データやパーソナルヘルスコード(PHR)とも連携して患者情報の縦断的な網羅を目指すとした。

 両学会は今回の第二次計画について、循環器病対策推進基本計画とともに「国民病ともいえる脳卒中と循環器病の征圧をさらに進めていくロードマップを示すもの」と規定。今後は2035年までを展望し、4期20年にわたり施策を推進する予定だという。5年後の2026年には、第二次計画を踏まえた第三次5ヵ年計画が公表される見通しだ。

(平山茂樹)