血管内治療は、80歳以上の脳主幹動脈閉塞による脳梗塞患者の障害軽減に対する有効性と安全性が示されているが、90歳以上では明らかでなかった。国立循環器病研究センター脳血管内科の藤田恭平氏(現・東京医科歯科大学)らは、前向き国内多施設共同研究RESCUE-Japan Registry 2のデータを用いて90歳以上の急性期脳梗塞患者に対する血管内治療と内科治療単独の効果を比較した結果をStroke2021年3月1日オンライン版)に発表。90歳以上の脳梗塞患者でも血管内治療は安全に脳梗塞後の障害を軽減させる可能性があることを示した。

発症3カ月後の転帰を有意に改善

 今回、藤田氏らは超急性期脳梗塞患者を対象としたRESCUE-Japan Registry 2から、発症24時間以内に来院し脳主幹動脈(内頸動脈または中大動脈水平部)の閉塞が確認された登録者2,420例のうち90歳以上の150例を抽出。血管内治療(機械的血栓摘出術)群49例と内科治療(薬物療法)単独群101例に分け、有効性および安全性を比較した。

 主要評価項目は脳梗塞発症3カ月後のmodified Rankin Scale(mRS)0~2点または発症前と同等のmRSへの回復。安全性の評価項目は発症72時間以内の症候性頭蓋内出血の発症などとした。

 対象の年齢中央値は92歳(四分位範囲90~94歳)、発症前mRS中央値は2(同0~4)。

 検討の結果、主要評価項目を達成した割合は、内科治療単独群に比べて血管内治療群で有意に高かった(6.9% vs. 28.6%、P<0.01、)。年齢、併存疾患、脳梗塞の大きさ、重症度などを調整した多変量解析の結果、内科治療単独群に比べて血管内治療群では有意に転帰良好に関連していた(調整オッズ比8.44,95%CI1.88~37.97)。

図. 発症前と3カ月後のmRS

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(国立循環器病研究センター、日本医療研究開発機構プレスリリースより)

 症候性頭蓋内出血の割合に両群で有意差はなかった(内科治療単独群3.9% vs. 血管内治療群0.0%、P=0.30)。

 以上から、藤田氏らは「90歳以上であっても適応を十分に検討すれば、脳主幹動脈閉塞による急性期脳梗塞に対する血管内治療は、内科治療単独と比べて良好な転帰が得られることが期待される」と結論。「90歳以上の高齢者の脳主幹動脈閉塞例は、日常診療でもしばしば経験する。年齢のみで、血管内治療の適応から除外すべきではない」と付言している。

大江 円