米食品医薬品局(FDA)は2月26日、モリブデン補因子欠損症(MoCoD)A型に対する初の治療薬となる注射剤fosdenopterin(商品名Nulibry)を承認したと発表した。MoCoDはまれな常染色体劣性遺伝性疾患で、通常は生後数日で発症して難治性の発作や脳損傷を引き起こし、死亡に至ることもある。同薬により死亡リスクの低減が見込まれる。

3年生存率が84%に上昇

 MoCoD A型の患者では、亜硫酸酸化酵素の補因子であるモリブデン補因子の欠損により、中枢神経系に有毒な亜硫酸代謝物が蓄積して難治性の発作、摂食困難、筋力低下、急速に進行する重度の神経損傷などを引き起こす。ほとんどの患者が幼児期に感染症により死亡する。今回の承認までは、合併症に対する対症療法がMoCoD A型における唯一の治療選択肢だった。

 MoCoD A型患者は環状ピラノプテリン一リン酸(cPMP)を生成できないが、fosdenopterinは不足しているcPMPを静注により代替する。同薬の有効性は、治療群(13例)と未治療群(18例)を比較した試験の結果により証明された。3年生存率は、未治療群の55%に対し治療群では84%と高かった。一般的な副作用は静脈合併症、発熱、呼吸器感染症、嘔吐、胃腸炎、下痢などであった。

 FDA医薬品評価研究センター(CDER)希少疾患・小児・泌尿器・再生医療部門部長のHylton V. Joffe氏は「今回は、致死的な疾患であるMoCoD A型の初の治療法に対する承認となった。FDAは希少疾患患者のための安全で有効な治療法の開発と承認の促進に取り組んでいる。希少疾患はアンメット・メディカルニーズが極めて高い分野である」と述べている。

 動物実験において、fosdenopterinの光毒性(日光など特定の種類の光による皮膚や眼の損傷)が見られたため、FDAは「同薬による治療を受ける患者は日光曝露を避け、日光に当たる際には日焼け止めを塗り、日光を防御する服とサングラスを着用する必要がある」と注意を促している。

(慶野 永)