世界最速で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの接種が進められているイスラエルにおいて、医療サービスを提供する最大組織Clalit Health Services(CHS)のNoa Dagan氏らは、ファイザーとビオンテックが共同開発したmRNAワクチン・トジナメラン(商品名コミナティ筋注)の全国集団接種者のデータから同ワクチンの有効性を評価。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発症に対し94%の有効性が示され、臨床試験の結果とほぼ一致したことなどを、N Engl J Med2021年2月24日オンライン版)に発表した。

約60万例を対象に検討

 Dagan氏らは、CHSが有するトジナメランの全国集団接種者のデータを活用。2020年12月20日~21年2月1日に1回目の接種を受けた16歳以上でSARS-CoV-2感染の既往がない59万6,618例を対象とし、人口統計学的および臨床的特徴をマッチさせたワクチン非接種の対照59万6,618例を選出。1回目接種後14〜20日目、21〜27日目、2回目接種後7日目~経過観察終了日におけるSARS-CoV-2への感染およびCOVID-19発症、入院、重症化および死亡について検討した。

1回目接種後3週目に比べ4週目、2回目接種後で高い有効性

 Kaplan-Meier法を用いてワクチンの有効性を推定した。1回目接種後14〜20日目、21〜27日目、2回目接種後7日目〜経過観察終了日(平均観察期間15日、四分位範囲5〜25日)の各期間におけるワクチンの有効性は次の通り。

■1回目接種後14〜20日目
 ・SARS-CoV-2感染率46%(95%CI 40〜51%)低下
 ・COVID-19発症率57%(同50〜63%)低下
 ・COVID-19による入院率74%(同56〜86%)低下
 ・COVID-19重症化率62%(同39〜80%)低下
 ・COVID-19関連死亡率72%(同19〜100%)低下

■1回目接種後21〜27日目
 ・SARS-CoV-2感染率60%(95%CI 53〜66%)低下
 ・COVID-19発症率66%(同57〜73%)低下
 ・COVID-19による入院率78%(同61〜91%)低下
 ・COVID-19重症化率80%(同59〜94%)低下
 ・COVID-19関連死亡率84%(同44〜100%)低下

■2回目接種後7日目〜経過観察終了日
 ・SARS-CoV-2感染率92%(95%CI 88〜95%)低下
 ・COVID-19発症率94%(同87〜98%)低下
 ・COVID-19による入院率87%(同55〜100%)低下
 ・COVID-19重症化率92%(同75〜100%)低下
 ・COVID-19関連死亡率(NA)

 各期間におけるワクチンの有効性は、年齢にかかわらず一貫して認められた。

パンデミック終息に寄与する可能性

 COVID-19に対するトジナメランの国際共同第Ⅲ相試験では、主要評価項目である2回目接種後7日目以降におけるCOVID-19の発症予防に関して95%の有効性を示したと報告されている。

 Dagan氏らは「今回の研究では、臨床試験で得られたトジナメランの有効性(efficacy)95%と同程度の94%という高い有効性(effectiveness)が推定された。また、COVID-19に7関連する入院や重症化、死亡というより深刻なアウトカムに対しても高い有効性が示され、有効性は経時的に高まる傾向が見られた。これらの結果は、トジナメランがCOVID-19パンデミックに伴う世界的に深刻な影響の軽減に有用であることを示唆するものである」と述べている。

(宇佐美陽子)