処方薬の効能とリスク、使用方法について患者の理解が不十分だとアドヒアランス向上の妨げになる。米・University of California, Los AngelesのTimothy Ho氏らは「高齢者では、服薬情報は医師の説明の有無にかかわらず正しく認識していたが、副作用に関しては説明がない場合、半数以上が"副作用はない"と誤って認識していた」とJ Gen Intern Med(2021年2月5日オンライン版)に報告した。

50歳以上の81例、111件の新規処方を解析

 患者が薬剤の用法・用量や副作用など基本的な情報を理解しているとアドヒアランスも向上するが、患者が薬剤関連情報をどの程度理解しているかについてのデータは不足している。そこでHo氏らは、50歳以上の患者における来院後の新規処方薬の基本情報に関する理解を評価し、患者の理解が不十分な理由を検討。以前の研究(2009〜10年)における混合解析のデータを用いて二次解析を行った。

 対象患者は外来診療中に新規に薬剤を処方され、その薬剤について医師と話をした81例(平均年齢60.4歳、女性49例)で、計111の新規処方薬を受け取っていた。同氏らは、患者の①錠剤の数②服用頻度③服用期間④用量⑤潜在的な副作用−の認識について調べた。対象には、処方箋や書面による薬剤情報を参照することを許可した。

 医師は錠剤の数、服用期間、用量の情報はそれぞれ40%、40%、18%の薬剤について患者に話をしていた。服用頻度については59%、副作用情報は44%の薬剤で話していた。医師が診療中に薬剤の話をしたかどうかとは関係なく、患者は70%以上の薬剤について錠剤の数、服用頻度、服用期間、用量について正しく認識していた。

「医師が副作用の説明していなかった」が多い

 しかし、医師が副作用の情報に言及しなかった62剤中34剤(55%、全体の31%)および医師が副作用情報に言及した49剤中11剤(22%、同10%)について、患者は副作用がないと認識していた()。その理由として最も多かったのが、「医師が副作用の説明していなかった」であった。その他、「患者が副作用についての話を聞いていなかった」「複数の薬剤が処方された」「医師が副作用という言葉を明確に使わなかった」などであった。

図. 薬剤情報に関する患者の認識度

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J Gen Intern Med 2021年2月5日オンライン版)

 同氏は「今回の対象は、半数以上が大学卒業程度の教育レベルを有しヘルスリテラシーも高かった。調査のために書面による情報の使用が許可されたことで、服薬情報についての認識が高まった可能性がある」と研究の限界について説明している。ただし、書面の情報を使用した頻度に関するデータは収集していないという。

アドヒアランスに悪影響の可能性も

 今回の研究では、患者の多くは医師の説明がなくても新規処方薬の用法・用量に関する情報は正しく認識していたが、医師が副作用の説明をしていない場合、副作用はないと誤認していた。Ho氏は「医師は、服薬情報については説明書の内容を患者と共有し、副作用に関する説明時間を設けるだけで十分な場合がある」と述べている。

 さらに、「多くの高齢患者は、新規処方薬の服用を開始する際、副作用について不安に思っている。しかし、処方時に副作用がないと誤って認識した場合、後から副作用の可能性について知らされることは、アドヒアランスに悪影響を及ぼす可能性がある」と懸念を示している。

(慶野 永)