世界保健機関(WHO)は、昨年(2020年)3月から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者に対する抗ウイルス薬4剤の効果を検討する連帯治験(WHO Solidarity Trial)の中間解析結果をN Engl J Med2021; 384: 497-511)に発表した。レムデシビル、ヒドロキシクロロキン、ロピナビル(LPV)/リトナビル(RTV)配合剤、インターフェロン(IFN)β-1aのいずれでも、院内死亡率の低下、人工呼吸器装着の抑制、入院期間の短縮は認められなかった。

ヒドロキシクロロキン、LPV/RTV、IFNβ-1aは試験中止

 同治験では、30カ国405施設で成人COVID-19入院患者1万1,266例(70歳未満81%、男性62%、人工呼吸器装着済8%)を登録。各施設で利用可能な抗ウイルス薬4剤のいずれかを投与する群と、投与せず標準治療のみを行う対照群の5群にランダムに割り付けた。

 内訳は①レムデシビル群2,750例②ヒドロキシクロロキン群954例③LPV/RTV群1,411例(IFNβ-1a不使用)④IFNβ-1a群2,063例(うちLPV/RTV併用651例)⑤対照群4,088例-。主要評価項目は院内死亡率、副次評価項目は人工呼吸器装着および入院期間とした。

 なお同治験は、有効性が確認できない薬剤は試験を中止し、新たな治療薬候補を追加できる形で行われている。そのため、ヒドロキシクロロキン、LPV/RTV、IFNβ-1aの試験がそれぞれ昨年6月19日、7月4日、10月16日に中止となり、現在は免疫調節薬やモノクローナル抗体などの試験が進行中である。

年齢や人工呼吸管理の有無で死亡率に大差

 Intention-to-treat(ITT)解析の結果、全体で院内死亡は1,253例(ランダム化から死亡までの期間の中央値8日目、四分位範囲4~14日目)、Kaplan-Meier法による28日死亡率は11.8%だった。28日死亡率は、年齢(70歳以上20.4% vs. 50歳未満6.2%)および人工呼吸管理の有無(登録時点で装着の場合39.0% vs. 非装着の場合9.5%)による差が大きかった。

 抗ウイルス薬4剤の院内死亡率に対する効果をKaplan-Meier法により解析した結果、いずれの薬剤でも対照群と比べて有意な低下は認められなかった()。

図. 抗ウイルス薬4剤の院内死亡率比

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N Engl J Med 2021; 384: 497-511

 各群の死亡数と、登録時点の年齢および人工呼吸器の有無を調整後の院内死亡率比(RR)は次の通り(全てlog-rank test)。

①レムデシビル群2,743例中301例 vs. 対照群2,708例中303例(RR0.95、95%CI 0.81~1.11、P=0.50)

②ヒドロキシクロロキン群947例中104例 vs. 対照群906例中84例(同1.19、0.89~1.59、P=0.23)

③LPV/RTV群1,399例中148例 vs. 対照群1,372例中146例(同1.00、0.79~1.25、P=0.97)

④IFNβ-1a群2,050例中243例 vs. 対照群2,050例中216例(同1.16、0.96~1.39、P=0.11)

 同治験の運営委員会は「全体でも事前に設定したサブグループでも、明確な院内死亡率の低下、人工呼吸器装着の抑制、入院期間の短縮が認められた抗ウイルス薬はなかった」と結論している。

(太田敦子)