今年(2021年)2月13日時点でのカナダにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者は82万8,000人、死亡者は2万1,000人に達している。同国University of TorontoのAmol A. Verma氏らは、COVID-19および季節性インフルエンザ(以下、インフルエンザ)の入院患者を対象に後ろ向きコホート研究を実施。その結果、COVID-19の死亡リスクはインフルエンザの3.5倍と高く、両者は全くの別物であると、CAMJ2021年2月10日オンライン版)に発表した。

COVID-19入院患者の約2割が50歳未満

 カナダにおいて、COVID-19で入院した患者の特徴や治療に関する情報は十分とは言い難い。そこで Verma氏らは、同国オンタリオ州内にある7つの医療機関の医療データを使用した後ろ向きコホート研究を実施。COVID-19またはインフルエンザで入院/集中治療室(ICU)に入室し、2019年11月1日~2020年6月30日に退院した患者を対象に、臨床的特徴や転帰などを比較した。

 COVID-19による入院患者(COVID-19群)は1,027例(年齢中央値65歳、男性59.1%)、インフルエンザによる入院患者(インフルエンザ群)は783例(同68歳、50.8%)。COVID-19群における50歳未満、50~75歳、75歳超の割合はそれぞれ21.2%、46.7%、32.0%だった。

ICU入室、入院期間のリスクは約1.5倍

 年齢、性、居住地、チャールソン併存疾患指数、入院した医療機関、近隣世帯の収入および人種を調整した上で解析したところ、院内死亡リスクはインフルエンザ群の6.1%に対し、COVID-19群では19.9%と有意に高かった〔調整後相対リスク(aRR)3.46、95%CI 2.56~4.68)、P<0.001〕。

 同様に、ICUへの入室リスク(COVID-19群26.4% vs. インフルエンザ群18.0%、aRR 1.50、95%CI 1.25~1.80、P<0.001)および入院期間の延長リスク(COVID-19群中央値8.7日 vs. インフルエンザ群中央値4.8日、同1.45、1.25~1.69、P<0.001)もCOVID-19群で有意に高かった。

 一方、30日以内の再入院については、両群で有意差は認められなかった(COVID-19群9.3% vs. インフルエンザ群9.6%、aRR 0.98、95%CI 0.70~1.39)。

 Verma氏らは「これまでにフランスや米国で報告された結果と同様、カナダでも医療機関に入院したCOVID-19患者の死亡リスクは、インフルエンザによる入院患者の3.5倍に上り、ICUへの入室および入院期間延長のリスクも約1.5倍と高かった」とし、「COVID-19はインフルエンザとは全く別物である」と結論している。

 さらに、同氏は「多くの人がCOVID-19の影響は高齢者で大きいと考えている。確かに、COVID-19で入院した75歳超の患者の約40%が院内で死亡していることから、高齢者への影響が大きいのは事実。しかし、若年層にも深刻な影響を及ぼす可能性がある。第一波のパンデミックにおいて、50歳未満がCOVID-19による全入院患者の20%を占めた。COVID-19で入院した50歳未満のほぼ3人に1人はICUに入室し、およそ10人に1人は退院後の再入院を余儀なくされている」と付言している。

(比企野綾子)