抗PD-1抗体薬によるがん治療の効果の有無に、患者の腸内細菌叢の構成が影響していることが報告されている。こうした中、米・University of PittsburghのDiwakar Davar氏らは、抗PD-1抗体薬が奏効しなかった進行メラノーマ患者に対して糞便微生物叢移植(FMT)を施行し腸内細菌叢を変化させたところ、同薬の効果が得られるようになったとする原理証明(proof-of-principle)を目的とした第Ⅱ相試験の結果をScience2021;371:596-602)に発表した。

レスポンダーから採取した糞便を使用

 進行メラノーマの治療において、抗PD-1抗体薬は長期的な臨床的有益性をもたらすが、同薬が奏効しない治療抵抗性の患者(ノンレスポンダー)も存在する。一方、がんに対する抗PD-1抗体薬を用いた治療への反応には患者の腸内細菌叢の構成が影響していることが、これまでの研究で示されていた。

 そこでDavar氏らは今回、抗PD-1抗体薬を含む現行の治療に抵抗性を示す進行メラノーマ患者に対し、同薬が奏効したメラノーマ患者(レスポンダー)から採取した糞便を用いてFMTを大腸内視鏡により施行。また、抗PD-1抗体薬(ペムブロリズマブ)を3週間ごとに病勢進行または許容できない毒性が発現するまで投与し、臨床的アウトカムと免疫学的アウトカムを評価した。

15例中6例で1年以上の臨床的有益性示す

 その結果、FMTと抗PD-1抗体薬による治療の忍容性は良好であった。また、治療を受けた15例中6例において、12カ月以上にわたる臨床的有益性〔客観的奏効(OR)または安定(SD)〕が示された。

 一方、免疫学的には抗PD-1抗体薬の効果が得られる状態だが腸内細菌叢の状態は不良なノンレスポンダーの患者において、FMT後に腸内細菌叢が抗PD-1抗体薬の効果が得られやすい構成に変化していたことも分かった。

 Davar氏らは、今後メラノーマ患者を対象としたより大規模な臨床試験を実施するとともに、他のがん種に対してもFMTの有用性について検討したいとの考えを示している。また、最終的には治療効果を得る上で最も有益な微生物の組み合わせを明らかにし、それらを含有する錠剤を用いたFMTを実現したいとしている。

(岬りり子)