新型コロナウイルス(SARS‐CoV-2)ワクチンの医療従事者への接種が、本日(17日)全国の医療機関で始まった。続いて優先される65歳以上の高齢者への接種は4月以降になる見通しだ。国内で初めて特例承認を取得したファイザーのコロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)(商品名コミナティ)が使用されるが、厚生労働省は接種に当たっての留意事項に関する通知を2月14日に都道府県に発出した。厚労省の資料や同ワクチンの添付文書なども含め、現在までに判明している特徴や副反応、適正使用に当たっての注意点をまとめた。

十分な免疫獲得は2回目接種から約7日以降

 コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチンは、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンで、SARS-CoV-2のスパイク蛋白質(ウイルスがヒトの細胞に侵入するために必要な蛋白質)の設計図となるmRNAを脂質の膜に包んだ構造となっている。

 ワクチンの接種対象は16歳以上で、3週間間隔で2回接種する。間隔が3週間以上空いた場合は、できるだけ速やかに2回目を接種する。ワクチンによる十分な免疫ができるのは、2回目の接種を受けてから7日程度経過してからとされている。

 海外で12歳以上のSARS-CoV-2感染歴の有無を問わない4万人以上が参加した臨床試験では、94.6%の有効率(発症予防効果)が確認されている(主要評価項目は、2回目接種後7日以降のSARS-CoV-2による感染症に対する有効性)。

 また20~85歳の日本人健康成人160例を対象に、同ワクチンを19~23日間隔で2回接種した際の安全性、忍容性および免疫原性の評価を目的としたプラセボ対照の試験では、2回目接種1カ月後に血清中の中和抗体価が上昇し、海外の臨床試験と同程度以上の結果が得られており、日本人でもワクチンの有効性が期待できると考えられている。

疲労、頭痛、筋肉痛などの副反応に注意

 主な副反応(出現率5%以上)として、疼痛(84.3%)、疲労(62.9%)、頭痛(55.1%)、筋肉痛(37.9%)、悪寒(32.4%)、関節痛(23.7%)、下痢(15.5%)、発熱(14.8%)、腫脹(10.6%)などが報告されている。

 重大な副反応としてまれに、ショック、アナフィラキシー(頻度不明) が現れることがあるため注意が必要だ。初回接種時にこれらの反応が認められた場合は、2回目の接種は行わない。また、接種前に過敏症などに関する問診を十分行い、接種後は一定期間、被接種者の状態を観察することが望ましいとしている。

 厚労省の通知によると、「ワクチン接種直後または接種後に、注射による心因性反応を含む血管迷走神経反射として失神が現れることがある。失神による転倒を避けるため、接種後一定時間は座らせるなどして、状態を観察することが望ましい」としている。

 同ワクチンは三角筋に筋肉内接種するため、国内で流通している皮下に注射するインフルエンザワクチンなどと異なる点に十分留意が必要だ。

妊婦、腎臓や肝臓疾患、心血管疾患患者は慎重に判断

 接種対象者は16歳以上で、①明らかな発熱を呈している②明らかに重篤な急性疾患にかかっている③同ワクチンの成分に対し重度の過敏症の既往歴があるーに該当する人は接種を受けることができない。

 さらに、妊婦、授乳婦、高齢者、腎臓や肝臓などの疾患、心血管疾患などを有する場合は接種要注意者(接種の判断を行うに際し、注意を要する)とされ、診察および接種適否を慎重に判断し、予防接種の必要性などの十分な説明を行い同意を得た上で注意して接種することとしている。

 注意が必要な者は①抗凝固療法中の者、血小板減少症または凝固障害を有する者(接種後に出血または挫傷が生じることがある)②過去に免疫不全と診断されている者および近親者に先天性免疫不全症の患者がいる者(同ワクチンに対する免疫応答が低下する可能性がある)③心血管疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害などの基礎疾患を有する者④予防接種で接種後2日以内に発熱が見られた者および全身性発疹などのアレルギーを疑う症状を呈したことがある者⑤過去に痙攣の既往がある者⑥同ワクチンの成分に対して、アレルギーを呈する恐れがある者⑦腎機能障害を有する者⑧肝機能障害を有する者⑨妊婦・授乳婦⑩小児など(16歳未満についての有効性、安全性は確立されていない)⑪高齢者―としている。

希釈後は6回分を採取、6時間以内に使用を

 通知では、解凍方法や希釈方法についての注意点も記載されている。解凍方法については①冷蔵庫(2~8℃)で解凍する場合は、解凍および希釈を5日以内に行う②室温で解凍する場合は、解凍および希釈を2時間以内に行う③解凍の際は、直射日光や紫外線が当たらないようにする④解凍後は再冷凍しないー。

 希釈方法は①希釈前に室温に戻しておく②保存料を含まないため、操作にあたっては雑菌が迷入しないよう注意する③同ワクチンのバイアルに日局生理食塩液1.8mLを加え、白色の均一な液になるまでゆっくりと転倒混和する。振り混ぜない④希釈後に微粒子が認められる場合は、使用しない⑤希釈後の液は6回接種分(1回0.3mL)を有する。デッドボリュームが少ない注射針または注射筒を使用した場合、6回分を採取することができる。標準的な注射針および注射筒などを使用した場合、6回目の接種分を採取できないことがある。1回0.3mLを採取できない場合、残量は廃棄する⑥希釈後の液は2~30℃で保存し、希釈後6時間以内に使用する。希釈後6時間以内に使用しなかった液は廃棄する⑦希釈後保存の際には、室内照明による暴露を最小限に抑え、直射日光や紫外線が当たらないようにすることーとしている。

(小沼紀子)

変更履歴(2021年2月22日):ワクチンの希釈方法の記載内容について一部訂正しました。