中外製薬は2月9日、ヒト化抗ヒトインターロイキン(IL)-6受容体モノクローナル抗体トシリズマブの有効性と安全性を検討する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う肺炎患者を対象に、国内第Ⅲ相臨床試験J-COVACTAにおいて、開始後28日時点での結果を発表した。

トシリズマブ投与で患者の81.3%が症状改善

 トシリズマブは、炎症性サイトカインの一種であるIL-6の作用を阻害する働きを持つ。単群の同試験では、重症COVID-19関連肺炎の入院患者を対象にトシリズマブと標準治療併用による開始28日時点の有効性と安全性を7カテゴリの順序尺度を用いて評価した。昨年(2020年)5~10月に49例を登録した。

 主要評価項目は、順序尺度(1:退院または退院待機状態~7:死亡)に基づく臨床状態。体外式膜型人工肺(ECMO)や人工呼吸器、酸素投与の必要性などに基づき評価する。副次評価項目は、①臨床状態の改善までの期間②退院または退院準備状態までの期間―などとした。

 解析の結果、トシリズマブ投与を受けた48例のうち、投与開始後28日時点で35例(72.9%)が退院または退院待機状態に至り、5例(10.4%)が死亡した。また、7カテゴリ順序尺度が投与開始時に比べて1段階以上改善した患者は39例(81.3%)であった一方、1段階以上悪化した患者は6例(12.5%)だった。安全性は既知の安全性プロファイルと同様で、新たな安全性の懸念は示されなかった。

COVID-19治療薬としての承認に期待

 現在、トシリズマブはいずれの国においてもCOVID-19関連肺炎に対する承認を得ていない。海外では、ロシュ社が重症COVID-19関連肺炎の入院患者を対象としたレムデシビル併用の有効性を検討する第Ⅲ相臨床試験REMDACTAを含め、複数の臨床試験を進行中だ。これまでに、重症COVID-19関連肺炎の入院患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験COVACTAの結果を昨年7月に、COVID-19関連肺炎の入院患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験EMPACTAの結果を同年9月に発表している。

 中外製薬は「今後は本試験のさらなる詳細な解析を予定しており、その成績は今後の医学系学会で発表予定だ。また、本試験およびREMDACTA試験をはじめとする海外試験の結果を踏まえ、今後トシリズマブのCOVID-19関連肺炎に対する承認申請について規制当局と協議する予定である」としている。

(編集部)