味の素は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大に伴う生活習慣の変化と認知機能への影響に関するアンケートを実施。その結果、コロナ禍で生活習慣が変化した人のうち、約3人に1人は「物忘れが増えた」と回答し、認知機能低下リスクが上昇した可能性があると、同社公式サイトに発表した。

約6割が生活習慣に変化

 同社は、今年(2021年)1月6~8日にインターネットを利用して、全国の40歳代以上の男女1,800人を対象にアンケートを実施。COVID-19流行拡大に伴う生活習慣の変化と認知機能の低下リスクについて分析した。

 その結果、COVID-19の影響で生活習慣に変化があったと回答したのは58.1%だった。変化があった人はなかった人に比べ、大都市エリアに居住し、世帯年収が約100万円高く、趣味や家族・友人関係を充実させたいという意識が強い傾向が見られた。

 具体的にどのような変化があったのか。食事では、40歳代男性を中心に、バランスの良い食事を取る機会が増えるなどポジティブに変化した人が25.2%に上った。一方、体を動かす時間は女性を中心に減少し、1日当たりの減少率は約15%となった。1週間当たりの会話日数は0.75日減少し、女性では各世代とも減少率が2割台とコミュニケーション機会の喪失傾向が示された。

社会的ネットワークや社会活動が減少

 社会的な面については、生活習慣に変化があった人のうち、身なりに気を使わなくなったと回答したのは33.9%と最も多かった。以下、趣味を中止した/趣味が減った(33.2%)、物忘れが増えた(32.9%)、やる気がわかないことが多くなったり、疲れやすくなったりした(31.9%)が続いた。

 この結果について、同社は「社会的ネットワークや趣味を含む社会活動の減少が認知機能の低下につながることを考えると、コロナ禍での生活習慣の変化により認知機能の低下リスクが上昇している可能性がある」との見解を示した。

健診受診率が16.3ポイント低下

 次に、生活習慣の改善により、認知機能の低下リスクが抑制されることを知っているかを尋ねたところ、「知っている」と回答したのは53.3%にとどまった。中でも40~50歳代男性では4割台と認識率が低かった。

 さらに、健康診断の受診状況を見ると、コロナ禍以前には77.7%が毎年健康診断を受けていたが、2020年には61.4%と16.3ポイントも低下した。国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センターNILS-LSA活用研究室室長の大塚礼氏は「健診受診率の低下は重大疾病の見逃しにつながる可能性がある」と懸念を示すとともに、「社会生活が制限または遮断された状態では、認知機能や身体機能の低下に直結する可能性があるため注意が必要だ」と付言した。

(比企野綾子)