新型コロナウイルスは依然として、各国の国民生活や経済活動に重大な支障をもたらしている。米英で封じ込めが比較的順調に進む一方、南米や欧州の大陸諸国で悪化。ワクチンの普及具合も国によって差が目立ち、世界規模で見れば収束への道筋は見えていない。
 ◇変異株に懸念
 米ジョンズ・ホプキンス大の集計では、5日時点の全世界の感染者数は約1億3200万人。国別では米国が3000万人を超え、ブラジルが1300万人超、インドが約1260万人で続く。全世界の死者数は290万人に迫り、55万人超の米国が最多だ。
 ただ、1日当たりの感染者数は米国が1月の25万人超から4分の1程度にまで減少。英国でも感染増が続く欧州大陸諸国を横目に、1日当たりの感染者数は1月のピーク時から10分の1以下にまで減少した。
 これに対し、ブラジルでは3月25日だけで10万人を超える感染者を出した。フランスなど欧州大陸の感染増は変異株流行が主因とされ、米国でも変異株拡散に伴う新規感染の「下げ止まり」に懸念が広がっている。
 ◇観客制限撤廃も
 感染拡大状況は、各国当局が課す移動や経済活動の制約に直結する。米国ではテキサスなど南部州が3月上旬、商業活動の全面再開を発表。大リーグのテキサス・レンジャーズは4月5日の本拠地開幕戦を観客制限なしで行った。
 ウイルス封じ込めに自信を示す英国のジョンソン首相も5日、新たな規制緩和策を発表。12日からパブやレストランの屋外営業が可能になり、娯楽施設も再開する。
 一方、フランスでは、3日夜から3回目の外出制限が発動された。全土で自宅から10キロ以上の移動が原則禁止され、生活必需品を扱う店以外は営業を中止。マクロン大統領は3月31日の演説で、初めて「私たちは誤りを犯した」と対策の不備を認めた。
 ◇接種は「自国優先」
 英オックスフォード大の集計によると、人口当たりの延べワクチン接種回数はイスラエルが最多で、中東諸国のほか米英両国が上位に並ぶ。仏独伊などは米英の3分の1程度にとどまり、ブラジルは約5分の1。日本はさらに遅れている。
 接種が遅れている欧州連合(EU)諸国では、加盟国間の「ワクチン争奪戦」も勃発。とりわけ中東欧諸国に不満が強い。EUからの供給の遅さにしびれを切らしたハンガリーは、独自にロシア製や中国製のワクチンを承認し、自国内で接種を始めている。
 契約上は国内の全成人分のワクチンを確保した米国は、「独占」批判を考慮し、一部を隣接するメキシコとカナダに供給することを検討中。それでも「(接種では)引き続き米国民が最優先」(サキ大統領報道官)という立場は崩していない。 (C)時事通信社