国際的な法人税の最低税率導入に向けた議論が前進している。先進国を中心に長年、企業誘致のため法人税率の引き下げ競争が繰り広げられてきた。しかし、新型コロナウイルス対策の巨額財政出動で公的債務が膨張し、財源確保や歳入改革を迫られる。イエレン米財務長官が最低税率導入の必要性を訴え、引き下げ競争に歯止めがかかりそうだ。
 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、法人税の最低税率導入を含め、巨大ITなど国境を越えて活動する企業に対する国際課税の新たなルールづくりについて、7月までの合意を目指している。
 1980年代以降に始まったとされる法人税率引き下げ競争は日本にも波及。とりわけ第2次安倍晋三政権以降では国・地方を合わせた法人実効税率が2014年度の34.62%から、18年度には29.74%へと引き下げられた。
 イエレン氏が「底辺への競争」と表現した引き下げ競争が進む中、タックスヘイブン(租税回避地)を悪用した多国籍企業などの税逃れの実態がパナマ文書により暴露。防止策の強化を求める声が強まっていた。さらにバイデン米政権はインフラ投資などに2兆ドル(220兆円)超を充てる成長戦略を打ち出し、財源確保のため連邦法人税率の引き上げなどを議会に提案している。
 経済協力開発機構(OECD)が合意時期を昨年末から今年半ばに先送りした国際課税ルールづくりは、法人税の最低税率設定が2本柱の一つ。麻生太郎財務相は、米国の姿勢を評価しつつも「百何十カ国を相手にやる話だから、簡単にまとまるほど単純ではない」と指摘。議論は曲折も予想される。 (C)時事通信社