米・Hennepin Healthcare Research InstituteのEric D. Weinhandl氏らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行前と流行中で米国における末期腎不全(ESKD)患者の入院、死亡リスクを比較検討。COVID-19流行中にESKD患者の入院、死亡リスクが大幅に上昇したことが分かったと、J Am Soc Nephrol2021年4月8日オンライン版)に報告した。

人工透析患者の入院率は一般の40倍

 Weinhandl氏らは、米国のメディケア・メディケイドセンター(CMS)におけるESKD 情報管理システムRenal Management Information System(REMIS)のデータからCOVID-19流行中〔2020年第3週(1月12日)~27週(7月4日)〕と流行前(2017~19年の同時期)におけるESKD患者のデータを用いて、全死亡、COVID-19以外による入院のリスクを比較検討した。

 米国では2020年第3週に56万8,533例が人工透析を、23万7,746例が腎移植を受けており、2017~2019年の第3週の平均はそれぞれ53万7,379例と21万8,713例だった。

 人工透析患者のCOVID-19による入院率は2020年3月22日~4月25日に最も上昇し、その後に低下した。同氏は「一般集団のCOVID-19による入院率の推移は人工透析患者と同様の曲線を描いたが、人工透析患者の入院率は一般集団の約40倍に上った」と指摘した。特に非ヒスパニック系黒人とヒスパニック系でCOVID-19による入院率が高かった。また、自宅で腹膜透析を受けている患者のCOVID-19による入院率は、医療機関で血液透析を受けている患者よりも低かった。

 2020年第13週~27週(3月22日~7月4日)に死亡は2万8,670例認められ、COVID-19による死亡率は第13週の2.6%から第18週に13.0%へと急上昇し、第25~27週には4.0~5.0%に低下した。

全死亡リスクが17~30%上昇

 2020年第13週~27週における人工透析患者の全死亡リスクは2017~19年の同時期の患者に対して17%〔調整相対死亡率(ARR)1.17、95%CI 1.16~1.19)上昇した。ARRは若年患者に対して高齢患者で高く、白人患者に対して非ヒスパニック系黒人、ヒスパニック系、アジア系の患者で高かった。

 また、2020年第13週~27週における腎移植患者の全死亡リスクは2017~19年の同時期の患者に対して30%(ARR 1.30、95%CI 1.24~1.36)上昇した。ARRは白人患者に対して非ヒスパニック系黒人、ヒスパニック系、アジア系の患者で高かった。

 一方、COVID-19以外による入院率は2020年第14週(3月29日~4月4日)に最も低くなった。第13~17週の1,000人当たりの入院率は2020年が21.9人、2017~19年が32.8人。2020年第13週~27週における人工透析患者のCOVID-19以外による入院リスクは、2017~19年の同時期の患者に対して17%(調整相対入院率0.83、95%CI 0.82~0.38)低下した。

 以上の結果から、Weinhandl氏は「COVID-19が人工透析患者および腎移植患者に及ぼす影響は極めて大きい。2020年前半におけるCOVID-19流行期の全死亡率は人工透析患者、腎移植患者ともに著明に上昇した。この知見は、州政府が提供するコロナウイルスワクチンを腎不全患者に優先して接種する根拠となる」と結論している。さらに「医療機関で血液透析を行っている患者に比べて自宅で腹膜透析を行っている患者でCOVID-19による入院リスクが低かったことから、自宅での腹膜透析のベネフィットを裏付ける証拠が得られた」と述べている。

(大江 円)