【ニューヨーク時事】米国で新型コロナウイルスの「第4波」への警戒が強まっている。背景にあるのは、感染力が強い変異株の拡散と各州で進む規制緩和だ。一方、ワクチン接種が急速に進む中、感染再拡大をめぐる識者の見方も割れている。
 米国では1月上旬に第3波のピークを過ぎ、新規感染者数は下げ止まっていたが、このところ増加の兆しが見える。ニューヨーク・タイムズ紙によると、過去1週間平均の1日当たりの新規感染者は約6万5600人で、2週間前に比べて14%増。ミネソタ大感染症研究政策センターのオスターホルム所長は4日のNBCテレビの番組で「米国は急増の始まりにいる。まだそれが見えていないだけだ」と警告した。
 最近感染者が増えているのは主に中西部だ。うち特に深刻なミシガン州では、変異株の広がりや、学校の運動部などの活動再開が要因と指摘されている。他の州でも同様の事態が起こり得る中、ワクチン接種が加速し、規制緩和が進んでいる。南部テキサス州は3月にマスク着用義務を解除し、入店制限も撤廃。大リーグのレンジャーズは今月5日、同州の本拠地開幕戦で客席を100%開放し、約3万8000人が観戦した。西部カリフォルニア州も6月15日に経済活動を全面再開する。
 米政府は今月19日までに全成人を接種対象にするよう各州に指示。8日時点で接種を完了した人は人口の19.9%に上る。食品医薬品局(FDA)のゴットリーブ元長官は4日のCBSテレビの番組で、既に感染した人や接種を済ませた人の多さから「真の第4波を見ることはないだろう」と楽観した。また、重症化するリスクが高いとされる65歳以上の58.4%が接種を終えており、感染に伴う死者数は抑えられるという見方も強い。
 ただ、状況が冬に比べ改善しているとはいえ、ファウチ国立アレルギー感染症研究所長はCNNテレビに「ワクチン接種と急増の(どちらが先かという)競争だ」と指摘。「もう少し耐えれば、十分接種が行き渡り、急増のリスクが減る」と述べ、警戒を怠らないよう呼び掛けた。 (C)時事通信社